亀梨和也の哀しみは胸を打つ(5/5) | Deview-デビュー
2011年11月24日

 ドラマ『妖怪人間べム』で、昔のアニメを観ていたお父さん世代には、亀梨和也の演じるべムに違和感があるようだ。アニメでは骨太で大人なキャラだったようで。だが、亀梨の演じるナイーブなべムも良いと思う。特に第3話は涙モノだった。

 べムたちが50年以上前に自殺しようとしていたところを助けた青年が、老人になり再び自殺を図っていたのを止める。会社は倒産、妻に先立たれ、自身もガンで余命少なく。「俺たちが助けたことは何の意味もなかったのか…」とつぶやくべム=亀梨。

 人間を助けても正体がバレたら、助けた相手にさえ忌み嫌われてきた繰り返し。だが、今回は老人の“死ぬまでにやりたいこと”を手助けしながら、自ら正体を明かす。妖怪人間は年を取らないし、死なない。「ただ生きてるだけの俺たちは、この世界にいちゃいけない存在かもしれません」と漏らす。

 最後は1人で“やりたいこと”を成し遂げるために旅立った老人からの手紙の「君たちがいてくれて救われた」との言葉に号泣していた。悪と戦えば超人的な力を発揮するべムが、心の奥に抱えるもの哀しさ。

 そんなときの亀梨和也は、本当に胸を震わす演技をする。台詞がどうこうより、キラキラ輝くガラス玉が落とせば砕けてしまうようなはかなさを、彼自身が醸し出していて。ファンにはそういうところもたまらないのだろうか。カッコ良さの裏の繊細さ。ジャニーズでも他にいないタイプのように思える。

 この3話では最後に「いつか死んじゃっても人間になりたい?」と問い掛けるベロに、べムがうなずく場面もあった。彼らが人間への憧憬を口にするほど、人間である自分たちがそんなに素晴らしい存在なのだろうか…と思ってしまう。
(終わり)

 
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