2011年11月22日
2005年にこれも日テレ土曜9時枠で放送されたドラマ『野ブタ。をプロデュース』。『すいか』や『Q10』も手掛けた木皿泉の脚本による名作で、キャストは亀梨和也、山下智久、堀北真希、戸田恵梨香という当時売り出し中の面々。今なら全員ピンで主役を張れる。
再放送を改めて観ると、亀梨の秘めた哀感が良い。彼が演じた修二はクラスの人気者だが、それはキャラクターとして演じている姿。ふと「本当の俺には何もない」「俺は寂しい人間だ」とつぶやく姿は、本当に寂しげで。
勝手な想像だが、彼自身、彼にしか分からない孤独を抱えてきたのではないだろうか。あの美形は男として羨ましい。だが、きっとジャニーズに入る前から、どこにいても目立ち、常に他人の視線を浴びてきたに違いない。遠巻きに見られることは、近づいてもらえないことでもある。スポットライトの円内にいる本当の自分を誰も知れない…。
なんてのは妄想の世界だが、そんなことを思い起こさせるほどの説得力が、『野ブタ。』の亀梨の演技にはあった。そして、放送中の『妖怪人間べム』でも。
べムたちの本来の姿は醜い妖怪。普段は人間に化けているが、感情が高ぶると妖怪の姿になってしまう。3人が感情を高ぶらせるのは、老人ばかりを襲う強盗など人間の醜い行為を目の当たりにしたとき。本当に醜いのはどっちなのか…。
子供向けアニメの世界観を借りて、シンプルだが深いテーマを提示する手法は『怪物くん』と重なる。キワモノのように見えて、実はヒューマンなドラマ。『怪物くん』が明るい面を照らしたのに対し、『べム』では闇の面に焦点を合わせていて。その中で亀梨和也の演じるべムが見せるものは…。
(明日へ続く)

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