亀梨和也の哀しみは胸を打つ(2/5) | Deview-デビュー
2011年11月18日

 昨年放送されたドラマ『怪物くん』。怪物界から人間界に修業に来たわがままな王子を、嵐の大野智が演じた。あのキャップと黄色いシャツが似合うのは彼しかいないだろう。お供もドラキュラに八嶋智人、オオカミ男に上島竜平、フランケンにK−1ファイターのチェ・ホンマンと笑えるほどアニメチックで。

 特にホンマンは身長218pの巨体がもう、圧倒的にフランケン。韓国人で台詞に不安のあるところだが、「フンガー」しか言わないので問題ナシ。かくして、アニメを実写化した世界の出来上がりとなった。

 デモリーナ役の稲森いずみなど、よく引き受けたなと。この1年前には『アイシテル〜海容〜』で、殺人を犯した小学生の母親というシリアスな役を演じていた美人女優が、コスプレして悪魔の役を。

 そんな中で大野智の怪物くんは、さすがに原作のような子供の設定ではなくて。わがままというより、やさぐれてる感じで、すぐにふてくされたり憎まれ口を叩いたり。アニメの天真爛漫さとキャラは違う。

 そんな怪物くんが人間たちと触れ合いながら成長していく。人間社会に無知な彼が学ぶのは「何でも言えるのが本当の友だち」とか「ごはんはみんなで食べるのがおいしい」とか、当たり前のようで大切なこと。そんな話に毎回ホロリとさせられた。

 つまりアニメの世界を借りることで、通常のドラマならベタ過ぎのテーマを成立させたのが『怪物くん』だった。ただのコスプレ大会で終わらせずに。もともと良質な子供向けアニメには、大人からのメッセージとでもいうべき教訓が織り込まれてるもの。その構造も取り込んだ、アニメのドラマ化だった。

 同じ日本テレビで放送中の『妖怪人間べム』も、この路線を継いだように思える。ベクトルは逆だが。
(明日へ続く)


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