朝ドラで新人抜擢をやめたNHKへの注文(4/5) | Deview-デビュー
2011年10月31日

 NHKで放送したドラマ『金魚倶楽部』は、共に家庭に問題を抱える高3のハルと高1のことが主人公。いじめを受けることと、人気者だが無気力なハルが出会う。金魚すくいで獲った金魚を育てる名目で秘密の部活「金魚倶楽部」を作り、取り壊しが決まってる倉庫を部室として心を通わせる話。

 いろいろ事件がありつつ“居場所”としての恋を育んでいくのだが、気持ちは高ぶっても手をつなぐのが精一杯な感じの、2人の初々しさが良かった。キスとか何とか以前の、好きな子と手をつなぐときめきを、オッサンは思い出しました。

 そして何より、ことを演じた刈谷友衣子。“見〜つけた!”という感じだ。演技経験の少ない中でのヒロイン役ながら、ハルの同級生で味方をしてくれていた木田(水野絵梨奈)に「私がずっとハルといたのに。あなたが来なければ…」と言われ涙がポロポロ溢れ出すシーンなど、引き込まれる演技をする。そして、とてつもなく美少女。

 先日取材する機会があった。他のドラマの泣くシーンでは、リハから涙が止まらなくて困ったという。入り込むタイプの女優気質らしい。「今はいろんなことに影響を受けるから、考え方はコロコロ変わります」など、自分を客観視する精神年齢の高さも感じた。

 将来性はあっても、この時点で民放の連ドラヒロインは難しい。NHK、よくぞ抜擢してくれた。ちなみに、この『ケータイ発ドラマ』の1年前の前作『激・恋』でメインキャストの渡部秀は、その後『仮面ライダーオーズ』の主役を射止めている。

 こういう発掘枠ドラマ、レギュラーで設けられないものか。以前はあったのだが。
(明日へ続く)

 
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