元祖アイドル声優の再スタート(2/5) | Deview-デビュー
2011年10月5日

 声優ブームは過去に何度かあったが、現在の状況はブームというより、声優がタレントの一つのカテゴリーとして根付いたように感じる。

 この状況と直接つながったのが、90年代後半のアイドル声優ブーム。
林原めぐみ、椎名へきる、國府田マリ子、桜井智らが核となり、『新世紀エヴァンゲリオン』のブームも重なって、声優養成所の入所者が激増。
そうした中から堀江由衣や田村ゆかり、そして水樹奈々もデビューした。

 当時の背景としてはアイドルが下火になり、声優がニーズの受け皿として機能した部分がある。今ではアイドルファンと声優ファンは近いようでまったく離れているが。

 そして90年代の中核にいた声優たちは、ブームに異なるアプローチを取り始める。
第一人者の林原はこの流れから撤退。
自らが表に出ることを減らした。
後に「声優という仕事の素敵さを伝えたかったけど、もういいかなと思って」と振り返っていた。
「私はもっと芝居くさい部分を伝えたかった」とも。

 現在のマルチな声優の先駆者であったと同時に、本来の黒子的な意識が強い最後の世代でもある彼女。
アニメ主題歌中心のCDはコンスタントにヒットしたが、ライブ活動は行ってない。
アフレコの仕事のため、ノドのケアを第一に考えてのことだ。

 逆に、水樹奈々より前に声優初の武道館コンサートを行った椎名へきるは、音楽活動に傾倒。
アニメにほとんど出ず声優とは名ばかりの時期もあり、アニメから入ったファンは離れた。
信念があってのことだろうが、水樹ら後の声優は“アニメあってのアーティスト活動”というスタンスが主流になった。
(明日へ続く)

 
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