2011年9月7日
『絶対零度』の続編では、舞台は過去の未解決事件を担当する「特命捜査対策室」から、「特殊犯罪捜査対策室」に変わった。今回は現在進行形の事件に、刑事の身分を隠した潜入捜査で挑む。
部署は変われど、主要メンバーはほぼ同じ。先立って放送されたスペシャルで宮迫博之演じる刑事が殉職し、入れ替わる形で桐谷健太が敏腕捜査員として加わった。今までにないクールな役で味を出している。
だが何より、ドラマの構造自体が前作と変わったように思う。前作では上戸彩が主役でありつつ、ストーリーは毎回の未解決事件の中の人間ドラマが中心。それが今回、事件を追う上戸自身の刑事としての成長に重きが置かれていて。それはそれで良いが、その分、事件に秘められた切なさ、やるせなさが薄まってる印象だ。
たとえば7話の連続宝石強盗。桐谷らが追ってた男たちが犯人でないと判明し、上戸がその妻が犯人と気づくのだが、犯行動機はセレブタウンでの見栄という薄っぺらな…。
考えたら未解決事件の捜査では、事件が眠っていた長い時間の中に秘められた想いが、人間ドラマを描くうえで生かされていた。それが潜入捜査には薄い。せっかく良いドラマの続編を作ったのに、一番の良さをなくしてしまった。
とはいえ、6話の名画盗難の話には前作と同じ味わいが出ていた。画家が無名時代に自分で描いた贋作を本物と偽り愛好家に売ったことを後悔して、本物を密かに渡そうとしていたが、実は愛好家は贋作と分かっていながら彼の才能を信じて買ってた…という。こんな感じでシリーズが続くと、うれしいのだが。
そして、『絶対零度』前作のテイストを狙っているのでは? と思うドラマを他局でやっている。
(明日へ続く)
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