2011年8月26日
『世界ふれあい街歩き』は旅番組でありつつ、観光情報はほとんど入らない。
名所も紹介しない。
視聴者目線のカメラがただ普通の街中を歩き、居合わせた人に話し掛ける。
番組を立ち上げたプロデューサーが夫婦でベネチア旅行をした際、手持ちの現金がなくなって観光ができなくなり、街をブラブラしてたら「こっちのほうが楽しい」と思ったことから企画したという。
レポーターもいない。
ナレーションが入るだけで、テレビを観ながら自分がその街を歩いてる気分になれる。
でも、最初にNHKで社内試写をしたときは「何だこれは?」という反応が多かったとか。
カメラがダラダラ歩いて、その辺にいる人と「何してるんですか?」とか世間話をして、丘に登って「おわり」…。
意味があるのかと。
BSハイビジョンの番組だったのでGOサインが出たが、1チャンネル(NHK総合)だったらダメだったかも。
それが再放送という形で総合テレビでも流されると、評判を呼んだ。
制作に当たっては、街の路地1本1本まで綿密に下調べしつつ、作り物感を出さないよう現地の人との会話などで仕込みは一切しない。
視聴者目線で動くカメラはブレの少ないステディカムを使うため20キロほどになり、カメラマンの腰に負担が大きい。
良いマッサージ師の手配がスタッフの重要な仕事だとも。
そうして撮られた長回しの映像からは、見知らぬ街の息づかいが伝わってくる。
角を曲がるだけでワクワクする。
もちろん本当にその街を歩くことには叶わないが。嗚呼どこか行きてぇ〜。
だが、海外旅行も散歩の延長なら、逆に街の散歩でも旅行気分は味わえる。
いつもの電車で1コ前の駅で降りて街歩きをしたら、小さな思い出ができたりするかも。
残りの夏、遠出する時間がないのなら…。
(終わり)

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