2011年6月30日
妻夫木聡と松山ケンイチが主演、70年安保と全共闘運動に揺れた時代を描く映画『マイ・バック・ページ』。
当時「朝日ジャーナル」記者だった評論家の川本三郎氏が、自らの逮捕と解雇までを綴った実話を元にしている。
個人的には、原作を映画化が決まる遥か前、刊行された頃に読んでいた。
川本氏が証拠隠滅罪に問われた自衛隊朝霞駐屯地での自衛官殺害事件に興味あったので。
というのも、朝霞は自分の出身地。
母校の中学は、その駐屯地の跡地に建っていて。
事件当時のことは知らないが、首謀者とされた京大助手の裁判の報道を目にしたのが最初で、全共闘運動そのものにも関心が沸いた。
学生と機動隊の衝突を、時折り過去のニュース映像で見る。
学生たちをあそこまで駆り立てていたものは何だったのか。
映画の山下敦弘監督も全共闘終息後の生まれで、「日本が若かった時代の熱気に憧れを覚えた」「世界を変えられると本気で信じることができた人たちが羨ましかった」と語る。
もちろん原点は国を憂う気持ちだろう。
東大全共闘の山本義隆、日大全共闘の秋田明大の両議長は英雄視されていた。
だが、松山ケンイチが演じた活動家は大言壮語だけのホラ吹きに近い。そんな男が「自衛隊から武器を奪い革命を起こす」計画を企てる。
入手した自衛官の制服を着た手下2人を車で潜入させ…というのだが、トンチンカンとしか思えない。最大限うまく行って、どれだけの武器を奪えるのか。武器をいくらか奪ったところで、どう革命になるのか。だが、これは実際あった事件。活動家たちは逮捕されている。
革命ごっこにしか見えない計画に真剣にのめり込ませる熱が、時代を覆っていたのか。
(明日へ続く)

戻る