2011年5月20日
映画にドラマに成海璃子の出演作が途切れないのは分かる。監督たちにしてみれば、10代であれだけ、イメージを具現化してくれる計算が立つ女優は貴重だろう。
一方、去年『武士道シックスティーン』と『書道ガールズ!!』で同じような役が振られたが、そういう強めの役をやらせたくなるのも分かる気がする。
そして今回、『少女たちの羅針盤』で演じた楠田瑠美は、いきなり演劇部の先輩たちに「幼稚過ぎる!」「部長失格!」とケンカを吹っ掛けるシーンから始まる。
その後で「アーーッ!!」と叫びながら校庭を走り出す。強いというより、とにかく熱い。自分の感情をストレートに出す女子高生だ。
取材では彼女自身、この役を「すごく恥ずかしいと思った」と繰り返した。劇団メンバーへの「あなたは強いよ!」とか「一緒にやれて嬉しい!」とか直球な物言い。極め付けは、堤防で沈む夕日に「沈むなー!!」と叫んだり。
確かに感性の尖った彼女には、ベタ過ぎて恥ずかしかっただろう。でも、今までにない彼女が垣間見れた気がした。演劇コンクールで審査結果に不満を持ち、審査員室に乗り込むシーンでは、イスを振り回して暴れたりも。
「あそこはもうやるしかないと思って」とのことだったが、いつも波打つ感情表現も含めてコントロール良く演じる彼女が、演技以前にヤケッパチになってるようにも見えて。そのちょっとした危うさに、成海璃子に初めて青春映画ならではの揺れを感じた。
まあ彼女のことだから、ヤケッパチに見えたのも演技プランの内だったかもしれないが。(終わり)
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