2011年5月6日
坂本真綾が中野サンプラザのMCで話していたことだが、10年ほど前、彼女の兄が交通事故に遭い、1ヵ月以上意識が戻らなかったそうだ。
そんな事故の翌日にステージで歌う仕事が入っていた。
芸能人にはあるといえばある状況。音楽の力って? 自分の仕事って? いろいろ悩んだという。でも、親に「すべて予定通りにやりなさい」と諭された。「お兄さんが帰ってくると信じてるなら、帰ってくる場所の日常を保っていなければいけないでしょう?」と。
今回の震災に当たり、彼女が思い出したのがこの言葉。
日常を続けられる人は続ける。歌い、演じ、届けることが仕事なら歌う。そうして元気を広げていくことが、結果的に被災地の支援にもつながるはず。
ステージ終盤、彼女は「いろんなことを考えて、ライブを決行して、本当に良かったと思ってます」と話した。こちらも「ピンクスパイダー」もこのライブも、今だからこそ観に来て良かったと心から思った。
非常時ではある。
でも、エンターテイメントは不謹慎なもの? それは違うだろう。もちろん電力その他の問題もある。考えた末にやめるのも一つの見識だ。ただ、横並び意識だけで何でもカンでも自粛するのは、マイナスでしかない。一歩ずつでも前進して行くためには。
坂本真綾はステージで、ツアーを取りやめた仙台と札幌公演を「あくまで延期と思ってます」と言っていた。「本当に大変な思いをしている人たちの元で歌うことは、まだ必要でない。それ以上に必要なものがあるので。でも、いずれ力になれるときが来たら…」と。先日、その仙台と札幌で6月に代替公演を行うことが発表された。
(終わり)

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