映画派女優からドラマ派への転身(4/5) | Deview-デビュー
2011年3月11日

 『デカワンコ』で多部未華子が演じる主人公・花森一子は、新米刑事ながらフリフリのゴスロリファッションで現場に出向き、そして嗅覚が犬並み。犯人や関係者の匂いをクンクン嗅いで、事件を解決するという。

 警察ドラマがやたら多い今クールの中で、異彩を放つコメディ路線。

一子のケータイの着メロなど、往年の刑事ドラマ『太陽にほえろ』の音楽がたびたび流れたりと、パロディのノリが満載だ。

 一子のライバルは警察犬のミハイル。

車のシートでまさに犬ばりの四つん這いで匂いを嗅いで、鼻をヒクヒク動かすようなシーンも多々ある。それが本当に犬っぽくて笑える。刑事ドラマ好きということで、犯人に「観念せんかい!」と飛びかかって、逃げられたりも。

 あれだけナチュラルさで輝いてた多部未華子が、これほどコメディエンヌの引き出しを持っていたとは、改めて考えると驚きだ。と言っても、それは昔から彼女を観ていた人間の感想で、『山田太郎ものがたり』以降は、むしろこっちの路線が中心。

 『つばさ』はいきなりサンバダンサーが出てきたりとNHK朝ドラ異例のドタバタした作品で、多部ちゃんもハプニングにテンパるような場面が多くあった。

『ヤスコとケンジ』や『GM〜踊れドクター〜』でも軽いノリ。研修医を演じた『GM』では、主人公の東山紀之に「お菊人形」「猫目少女」「やつれたペコちゃん」などと言われていたのが、妙にズバリで笑えたが。

 しかし、こっちの引き出しがなかったら、いくら演技がうまくても、今の彼女はなかったかもしれない。

(明日へ続く)


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