2010年12月21日
『セクシーボイスアンドロボ』は、子供だが大人びたニコと、大人なのに子供じみたロボのコンビが主人公。
感性が子供ゆえ率直なロボの言葉に、ハッとさせられることが多かった。
怪現象を自作自演し、魔除けと称した人形を売りさばく女子高生に「ゲームならもっと面白いことをしようよ。イヤなことは現実にいっぱい起きてるんだからさ」とか。
『Q10』ではロボットであるキュートに、このポジションを担わせていた。
ロボットゆえ、純粋無垢さにより拍車をかけて。
1話では、貧乏で給食費が払えないため出席簿から名前が外され、朝のHRで名前も呼ばれない同級生にまつわる展開が。
テレビの時代劇を観て「困ったときは『助けて!』と叫べば誰かが助けにきてくれる」と"学習"したキュートが、校庭で佐藤健演じる平太と3人で「助けてください!」と叫び出す。
最初は教室から冷ややかに見ていたクラスメイトたちだが、「あんな必死に叫んでるのに放っておくのか?」と全員で駆けつけ、有名バンドのゲリラライブの空撮のため飛ぶ報道ヘリに向け、机で作ったSOSサインと共に「助けてください!」と叫びを上げる。
このシーンからグッときた。もちろん叫んだところで何の解決にもならない。でも、同級生のためにクラスみんなで叫ぶって、泣かせるじゃないっすか。青春じゃないっすか。
こうした青春テイストが多分に盛り込まれたのも『Q10』の良さだが、これは『野ブタ。をプロデュース』から一貫して、木皿泉作品の通奏低音として流れている。
(明日へ続く)

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