2010年12月20日
『Q10』で2年ぶりの脚本を手掛けた木皿泉。
夫婦2人組のこの作家が『AERA』に載り、和泉務が脳卒中から半身不随、妻鹿年季子がうつ病歴を持つと明かしていて、和泉が車いすに座った写真と共に驚かされた。
妻鹿は前作『セクシーボイスアンドロボ』を書いていた最中に、突然涙が止まらなくなり、抗うつ剤を服用しながらの執筆だったという。
確かにこのドラマ、11話中3話は他の脚本家。そんな状態であの名作を…と思う一方、『セクロボ』の暖かい風が吹くような空気感は、そんな状態だからこそ求めずにいられなかったものだったかと妙に納得もする。
『セクロボ』で個人的に最も好きなのは6話。
女殺し屋探しを引き受けたロボ(松山ケンイチ)とニコ(大後寿々花)。その殺し屋は8年前、自分が殺すはずの相手と銃撃中、捨てられていた赤ん坊を見つけ、なりゆきで3人家族として暮らし続けていた…という。
殺すはずだった男が夫となり、彼は捨て子だった子供に「お父さんは宇宙人なんだ」と話して育てた。再び追っ手が迫り「自分の星に帰らないと」と去る夫。
子供はロボの協力で宇宙に向けて「サヨナラ」の人文字を…。
冒頭、両親の大ゲンカに「離婚したらどっちに付いてくか」と冷静に話していたニコが、「家族がバラバラになるのはイヤ」とこぼす。
上京してロボのオタク生活をとがめていた彼の母親は「死ななきゃいい。死ぬまでロボットをいじってろ」と帰郷する。
そんな物語が続いた『セクロボ』。『Q10』はこの『セクロボ』と『野ブタ。をプロデュース』の発展型とも見えた。
(明日へ続く)
作者プロフィール戻る