2010年12月9日
事件を起こすのはガチの特殊能力者たちで、普通の刑事ドラマとして観たら反則のオンパレードな『SPEC』。
だから、これは刑事モノではない。
SFサスペンスで登場人物が刑事たち…と頭を切り替えて観ようとしてるのだが、どうも違和感が残り続ける。
仮タイトルだった『ケイゾク2』という刷り込みが強かったから? それだけではない。この『SPEC』には一方で、王道の刑事ドラマ要素もしっかりあるからだろう。
たとえば2話。
「神の力が宿って千里眼を持った」という死刑囚が、10年前の未解決事件の犯人を捕まえろと警察に挑戦する話で、その事件の再捜査に関しては普通に刑事ドラマの手法で描かれていて。千里眼の正体は、拘置所から遥か離れた警視庁内での会話まで聴こえる異常な聴力だったのだが。
そういう感じで、『ケイゾク』的な刑事たちの人間ドラマがある中に、予知能力だ何だと普通に出てくるから、どんな世界に身を置いて観ればいいか分からなくなる。
とか何とか言いつつ、結局『SPEC』は毎週観ずにいられない。ウソだろ? と思いながら引き付けられる。観方に悩むドラマは珍しいが、それも含め堤氏の狙いか。
キャストには最終回の台本が渡されたという。戸田はその感想をテレビで「ハチャメチャ。ドラマ自体が未解決」と話していた。果たして、この問題作はどう着地するのか。楽しみでもあり、怖くもある。
(終わり)

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