1000回変わらず続くラジオ(5/5) | Deview-デビュー
2010年11月29日

 『林原めぐみのHeartful Station』は東京で収録し、ラジオ関西(旧AM KOBE)をキー局に放送されている。1995年、その神戸を阪神・淡路大震災が襲った。当時を振り返り、林原はこう語る。

「毎週ハガキを送ってくれてた子から、パタッと来なくなって。会ったこともなくて顔も知らないけど、"死んじゃったのでは…"とたまらない気持ちでした。3ヵ月ぐらい経って、やっと"元気です!"ってハガキを見たときのことは忘れられませんね」

 その震災直後の放送は、生活情報優先で休止も検討されたが、あえて通常通りに。「なぜニュースを流さないんだ!」との声もあった一方、「いつものままで心が休まりました」との声も届いた。

 現地に出向き、崩れ落ちたラジオ局近くの仮設プレハブから生放送したり、「神戸コーナー」を設けて復興に向けたハガキを募ったりも。安易に美談にするつもりはないが、苦しくやるせない状況の中、ラジオから流れる言葉に励まされることは確かにある気がする。

「非常時じゃなくても、特に深夜のラジオは、日ごろ弱音を吐かない人も妙に素直になる瞬間があったり。親に何を言われてもシカトしてたのが、パーソナリティのひと言でホロッときちゃうとか。人間の鎧を脱がせる力を持ってると思うんですよね」

 1人の部屋で聴くラジオ。実はかけがえのない時間かもしれない。

(終わり)


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