渋谷系"とは何だったのか?(3/5) | Deview-デビュー
2010年10月5日

 ここまで書いてきて何だが、渋谷系ブームが本格化したのは93年ごろ。このサイトを見ている方はご存知の世代なのだろうか。

 説明しておくと"渋谷系"とは、フリッパーズ・ギターらニューウェーブ以降の洋楽に強い影響を受けたアーティストたちが担い手。

英語詞のネオアコ系サウンドとか、ほぼ全編サンプリングを用いたアルバムとか、彼らが従来の邦楽の文法に捉われず自由奔放に表現した音楽、といった定義付けができる。

 で、もう10年前の年末、20世紀の終わりにちなんで、80〜90年代の音楽シーンに起きた様々なブームを振り返る特集を雑誌で企画した。

取り上げたのは、おニャン子クラブ、イカ天、ガールポップ、小室プロデュース、そして渋谷系。

 それぞれブームの当事者だったアーティストや関係者、影響を受けたアーティストたちに取材を重ね、売上げなどのデータも集め、かなり労力は要したが楽しかった。

 おニャン子なら新田恵利や渡辺美奈代、イカ天ならたまやBEGINらが取材に応じてくれた。

TKプロデュースでTRFのDJ KOOは「アルバムレコーディングをしていた1ヵ月半、小室さんがほぼ毎日、自分で車を運転して家まで送ってくれたんですよね」と懐かしそうに振り返っていた。

 ところがだ。渋谷系に関してはオファーしたアーティストが誰も彼も"取材もコメントもお断わり"と回答してきたのだった。
(明日へ続く)


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