『けいおん!!』にあってドラマにないもの(3/5) | Deview-デビュー
2010年8月19日

 娯楽が多様化した今、テレビの前から離れない視聴者は少数派。かつて平均20%を越えていたプロ野球中継が象徴的で、観客動員数はさほど変わらないが、視聴率は10%も取れない。

晩酌しながら2時間も野球を観続けるお父さんが激減したのだろう。

 だからバラエティでは"衝撃映像まであと5秒!"とか、チャンネルを変えられないよう煽り続ける。"そして驚きの事態に!"といったナレーションでCMに入り、明けたらまたフリから返して…という手法もよく見る。

 ドラマも同様。

以前から終盤に急展開が起きて"次回はどうなる!?"というのはあったが、今は次回どころかCM明けは? このシーンの後は? と視聴者の興味を逸らすまいと次から次へ話が動く。良く言えばテンポがいいが、悪く言えばせわしない。

 そんな番組が圧倒的に増えた中、深夜にチャンネルを合わせた『けいおん!!』の、何とまったりしていること。

倉庫代わりにしていた音楽準備室を片づけるとか、真夏の暑い日にどうバンド練習をするかとか、他愛ない話で30分が過ぎる。それを寝る前にダラーッと観るのが何とも楽しい。

 原作は4コマ漫画。

バンドものといっても、映画化される『BECK』や『NANA』のようなギラギラ感はなく、あくまで部活でバンドをやってる普通の女子高生の話。

修学旅行や期末試験がテーマの回もあるし。キャラクターや音楽の魅力も、この肩の力の抜けたまったり感が根底にある。
(明日へ続く)


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