渋い名作と渋い若手女優(5) | Deview-デビュー
2010年7月22日

 後に大ヒットする『フラガール』を撮り終えた徳永えりの、次の出演作だったのが『ダンドリ。』。

このドラマでは1週間の合宿でチアダンスを毎日9時間練習したり。当時「鍛え過ぎて隠さないと危ないんです」と見せてくれた力こぶは、女の子らしからぬものがあった。

 榮倉奈々の初主演作。徳永はいなくても分からない脇役。それでもダンスシーンがある以上、隅っこでも踊れてなければならない。映るのは数秒だとしても。

そんな細部にこそリアリティは生まれる。その後も彼女は、映画『ブラブラバンバン』でアルトサックス、『うた魂』で合唱とピアノなど、なぜか訓練が必要な役が続いた。そうこうするうち、精神的なたくましさも身に付けたのでは。

 『春との旅』では仲代達矢だけでなく、共演は大滝秀治、菅井きん、田中裕子、淡島千景、柄本明、香川照之…といった面々。若手は彼女だけ。「たえず"私でいいの?"という感覚がありました。でも、こんなチャンス滅多にないので」と語っているが、『フラガール』の頃ならプレッシャーに打ち勝てていただろうか。あれほど堂々とした演技はできなかった気がする。

 てなわけで今回、派手さに欠けても気になる徳永えりを取り上げさせてもらった。春も北海道の片田舎の小学校で給食係をしていた役どころ。

彼女自身「私はどちらかというと、もんぺを履いたような女の子役がしっくり来るんです」と話している。
(終わり)


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