2010年3月16日
道で百円玉を拾ったらうれしい。1年間浪人して大学に受かってもうれしい。だけど、それぞれのうれしさの質や量は全然違う。
てなことは当たり前の話だが、どっちも同じ"うれしい"という表現でしか演じられない役者が意外といる。
長年辛い目に遭ってる役なのに、昨日イヤなことがあって不機嫌な程度にしか見えないとかも。
菅野美穂は若手演技派として早くから定評があった。
クセのある女性を演じたらピカイチ。
古くは『イグアナの娘』の自分がイグアナに見える少女から、最近だと『働きマン』のバリバリ仕事する雑誌編集者とか、『キイナ』の特殊な観察力のある捜査官とか。
そして、今回の『曲げられない女』。
"クセのある"と言っても一本調子でなく、それぞれのクセを的確に演じていて。
台本にある個々の台詞にただ感情を込めるだけでなく、その人物が過ごしてきた人生の時間をも表現できているのが素晴らしい。
『曲げられない女』での毎回の叫びも、ただ一時的に感情を爆発させてるのでなく、司法試験に9年落ちても自分の中で守り続けてきた信念の深さが感じられて。
そんな時間を表現するために、彼女がやっていることというのが…。
(明日へ続く)

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