アイドルグループ・乃木坂46の生田絵梨花が主演する「なかよし60周年記念公演ミュージカル『リボンの騎士』」公開ゲネプロが12日、赤坂ACTシアターで行われた。

　手塚治虫の不朽の名作『リボンの騎士』は、1953年に少女向け漫画誌『少女クラブ』で連載がスタート。63年にリメイク版が『なかよし』で連載され、67年からはテレビアニメ化された国民的漫画。生田が演じるのは、天使のいたずらによって、男の心と女の心、2つの心を持って王女として生まれてきたものの、王位を継ぐために王子として育てられた主人公・サファイア。生田は「サファイアの絵は気付いたら知っていたぐらい有名で。アニメはおばあちゃんも観ていたという、幅広い世代の方が知っている作品なので、緊張とプレッシャーがあります」と気を引き締める。

　生田は幼少時からミュージカルに憧れ、ステージに立ち、かねてより目標を「ミュージカル女優」と公言。乃木坂46でアイドルとして活動しながら、昨年10月にはミュージカル『虹のプレリュード』で主演を果たすなど、着実に将来の夢に向かって歩んでいる。事前の囲み取材では「去年よりパワーアップしたと思ってもらいたい」と語るなど、手ごたえを感じているようす。『虹のプレリュード』に続いてタッグを組む演出・振り付けの上島雪夫も「幕が上がってから、豹変するのが楽しみ」と期待を語った。

　「女の心と男の心で人格が変わる、スイッチの切り替えが見どころ」というように、生田のサファイヤの演じ分けは見事。「単純に『男』『女』というだけではなく、その狭間で揺れ動くシーンを表現しようともがきました」と、サファイアの恋心や葛藤を、声質、表情、動作の全てを駆使して体現しようとした生田。元々定評のある歌唱力に、凛とした表情がのり、説得力を持ってサファイアをステージに存在させていた。

　初めて挑戦した殺陣については「はじめは剣の持ち方も収め方も分からなかったんですが、筋肉のある男性陣に教えてもらって、観られるようになったと思う」と笑う。しかし「リアルに見せるより、綺麗に見せることを心がけた」という殺陣は、流れるような動きでサファイアの美しさを強調して魅せた。

　フランツ王子役として、2作連続王子役を演じる神永圭佑の甘く包み込む歌声。海賊ブラッド役・青木玄徳の荒々しさの中に優しさを秘めた表情。魔女の娘・ヘケートを演じる乃木坂46・桜井玲香のパワフルな歌とダンスなど、若手キャストの奮闘も大きな見どころ。ミュージカル『リボンの騎士』は12日から17日まで、東京・赤坂ATCシアター、12月3日から6日まで大阪・シアターBRAVA！で上演。