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2025/05/14 19:43
オーディションを経て抜擢された17歳の新人俳優・川口真奈、映画『金子差入店』でスクリーンデビュー「フレーム外の世界を初めて見て興奮が止まらなかった」
2022年開催の『第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン』にて準グランプリを受賞し、芸能界デビューを果たした新人・川口真奈(17歳)が、SUPER EIGHTの丸山隆平が主演を務める映画『金子差入店』(5月16日公開)でスクリーンデビューを果たす。刑務所や拘置所に収容された人への差し入れを代行する「差入店」を題材とした本作において、川口は母親を殺した男との面会を望む少女・二ノ宮佐知を演じている。オーディションサイト『デビュー』では、映画初出演となる川口に、オーディションを経て出演を勝ち取った本作への想いや、複雑な事情を抱える少女を演じる上で意識したこと、初の映画撮影現場の印象、さらには将来の目標などを聞いた。
【映画『金子差入店』二ノ宮佐知役・川口真奈インタビュー】
――オーディションを経て、今作への出演が決まったそうですが、どのような想いでオーディションに臨まれましたか?
【川口真奈】「この作品が初めて受ける映画のオーディションだったのですが、当日まで台本などの事前情報がほとんどなく、オーディション会場で古川(豪)監督とかとお話した際に、台本をいただき、そのすぐ後に『演技を見たいので、1回読んでみてください』と言われて、お芝居をしました。なので、とにかくどんな役や台本であっても、全力で頑張ろうという意気込みでオーディションに行きました」
――オーディションで印象に残っていることはありますか?
【川口真奈】「台本の最後のほうで、相手を睨むというシーンがあったのですが、『セリフがないシーンだからこそ、表情で全部伝えてほしい』と言われて、そのシーンのお芝居で睨んだときに、古川監督から『目がキレイで、目ヂカラがある』と言われたことが、すごく嬉しくて印象に残っています」
――お芝居してみて、手応えみたいなものは感じましたか?
【川口真奈】「映画のオーディションは初めてだったので、確信とまではいきませんでしたが、“受かったかもしれない”という感覚はありました。私の演技が終わったあとに、古川監督が役についていろんなことを教えてくださって、こんなにたくさん作品について教えてくれるってことは、この作品に関われるってことなのかな?と思って、受かったかもしれないと、一人で嬉しくなって帰った記憶があります」
――受かったかもしれない…という手応えはあったんですね。その後、出演が決まった際は、どんな想いでしたか?
【川口真奈】「実際に言葉で『合格しました』と言われたときは、本当に嬉しかったです。初めてのオーディションで、私を選んでいただけたということに対して、古川監督をはじめとするスタッフの皆さんには本当に感謝しかないです。出演が決まって、この作品を良いものにしていけるよう、努力して臨もうと改めて思いました」
■「自分の全てを出しきれるように演じていきたいと思いました」
――刑務所や拘置所に収容された人への差し入れを代行する「差入屋」を題材にした作品ですが、台本を読んだ際、どのような印象を受けましたか?
【川口真奈】「刑務所や拘置所の差し入れを代行するという、あまり聞き馴染みのない“差入屋”を主人公にした、今までにない視点で描かれている作品だなと感じました。私もその作品に関われるということで読み進めたのですが、私が演じる二ノ宮佐知は、自分の母親が殺されていたり、いろんなことを抱えているハードな役だったので、最初は“私がこの役を演じるのか…”と、ビックリした記憶があります」
――ご自身が演じた二ノ宮佐知は、どのような人物だと感じました?
【川口真奈】「最初に台本を読んだときには、私とはぜんぜん違う境遇の少女だなと感じたのですが、でもどこかに同じような境遇の子もいるかもしれないということを考えて、だからこそ、全力で自分の全てを出しきれるように演じていきたいと思いました。台本の中には聞き馴染みのない言葉も多かったので、自分の知らない世界のことを、ネットで調べたり、いろんな作品などを見たりして、自分なりに勉強して臨みました」
――実際に現場に入って演じていく中で、役に対して最初に感じていた印象と、何か変化した部分ってありましたか?
【川口真奈】「台本で読んでいただけのときは、佐知に対して、“かわいそうな子だな”という印象だったのですが、自分が演じていくなかで、佐知は一見かわいそうって見えるかもしれないけど、この子はこの子なりに一生懸命生きていて、困難に直面しても頑張って生き続けているんだって感じました。それと、この役を演じられることが嬉しかったですし、誇りに思いました」
――現場ではどんなところにこだわって演じられたのでしょうか? 監督から言われて印象に残っている言葉などもあれば、教えてください。
【川口真奈】「古川監督からは私の自由な演技に惹かれて選んだから、思ったように演じてくださいと言われて、具体的な指示みたいなものはほとんどありませんでした。ですが、私の目ヂカラがどこか二ノ宮佐知と重なるところがあったともおっしゃってくださっていたので、なるべく力強い目ヂカラを意識して演じようと思って、鏡の前で睨む練習などをして、少しずつ役に近づけていきました」
■「“私、今映画の中にいるんだ!”と、本当に興奮が止まらなかったです」
――佐知が登場するシーンでは、セリフがなく、スケッチブックに文字を書いて、目や表情で相手に訴えかけるシーンも多かったと思いますが、そういった点での難しさみたいなものはありましたか?
【川口真奈】「やっぱり言葉を発せない、口数が少ない役というのは本当に大変でしたし、最初はどう表現すればいいんだろうと、ずっと役と向き合い続けて試行錯誤しました。スケッチブックに文字を書くという行為一つとっても、大切な人へ手紙を書くときの文字はキレイに丁寧に書きますが、佐知の場合は、書くというより書きなぐるというほうが近いというか、言葉を書くスピードや書き方にも彼女の性格が表れるよう意識しました」
――初めての映画で、難しい役に挑戦されていろいろと大変だったとは思いますが、初の撮影現場はいかがでしたか?
【川口真奈】「今まで私は映画のスクリーンで映し出されている部分しか見たことがなかったので、フレーム外の世界を初めて見て、それを間近で感じられていることに対して、本当に興奮が止まらなかったです。現場ではいろんな業界用語が飛び交っていたり、古川監督の指示ややりとりなどを間近で見て、“私、今映画の中にいるんだ!”ということを実感することができて、感動したことを覚えています」
――主演の丸山隆平さんをはじめ、共演者の方々とは現場ではどのように過ごされたのですか?
【川口真奈】「丸山さんは本当に明るくて場をすごく盛り上げてくださる方で、緊張している私を見て、『全力で演じれば大丈夫だよ』という言葉をかけてくださって、そのおかげで私も自然な演技で二ノ宮佐知を演じることができたかなと思っています。岸谷五朗さんは、ご自身の若かったころの失敗や体験談などをお話してくださって、『失敗はつきものだし、何もわからないからこそ、思ったように、素直に演じられるという武器もあるから、その新鮮さを活かして演技したらいいよ』と言ってくださって、本当に緊張がほぐれましたし、みなさん優しい方々ばかりで、すごく楽しくて幸せな現場でした」
――完成した作品を観た際、どんな感想を抱きました?
【川口真奈】「大きいスクリーンに自分が映っているというのが、最初は衝撃的でしたし感動しました。私が演じているのですが、そこにいるのは私ではなくて、二ノ宮佐知という少女だというのが、すごく新鮮で不思議な感覚になりました」
――2023年にホリプロタレントスカウトキャラバン(TSC)で準グランプリを受賞されたことがきっかけで芸能界デビューを果たした川口さん。そもそも芸能界への憧れはいつ頃からあったんですか?
【川口真奈】「最初は芸能界ってテレビとかをみる限り、すごく華やかな世界だなと思っていただけで、そういう仕事に興味があったかといわれると、まったく想像もしていませんでした。ただ、私の姉がいつの間にかTSCに応募してくれていて。姉自身も応募したことを忘れていたタイミングで審査通過のお知らせが来て、家族会議で今後について話し合ったんです。最初、私自身はあまり乗り気じゃなかったのですが、父からの『人生一度きりだから、自由に生きてみないか?』という言葉に惹かれて、頑張ってみようかなと前向きになれました」
■「今まで毎日、何か物足りないなと感じていたものが、演技をすることで埋まっていった」
――審査を通じて、心境も変化していった感じですか?
【川口真奈】「そうですね。最初は自信もなかったので、どうせ予選で落ちるだろうなって思っていたんです。でも、だんだん勝ち進んでいくうちに、自分が選ばれていくことが嬉しくなっていって。今まで毎日、何か物足りないなと感じていたものが、演技をするということで埋まっていったというか、自分の中で足りなかったことはこれだったのか!?と思うくらい、演技をすることが楽しくなっていきました」
――今後、挑戦してみたい作品や役は?
【川口真奈】「私はいま学生なのですが、年齢や時代を超えて、いろんな役に挑戦していきたいです。それと目ヂカラがあると言っていただいたので、その武器を活かせるような、シリアスな作品とかにも関わっていけたらいいなと思います」
――今回の作品もそうですが、これまでもオーディションを経て、出演を掴み取ってきているかと思いますが、川口さんがオーディションで常に心掛けていることはどんなことですか?
【川口真奈】「私が一番心がけているのは、自分らしさです。オーディションではいろんな役を演じるのですが、お芝居する前の自己紹介や審査員の方々との会話で自分らしさをアピールして、そのあとのお芝居で役とのギャップを見てもらえたらなと思ってやっています。普段の私は、わりとおっとりしていると言われることが多いのですが、演じる役は自分とはぜんぜん違う役が多かったりするので、そこで『ギャップがあるね』と言われると嬉しくて。そういう私自身とは全く違う役を演じる自分をいろんな方に観てもらいたいなと思っています」
――では最後に、川口さん自身が夢や目標を叶えるために大切にしていることを教えてください。
【川口真奈】「常にポジティブでいるということは一番大切にしていることです。生きていれば楽しいこともつらいこともいろいろとあると思うのですが、常にポジティブでいれば、楽しいことはさらに楽しく感じられるし、つらいことも前向きに捉えるようにすれば、毎日が楽しくなると思っています。“笑う門には福来る”というように、笑顔を意識することで、いろんな福を引き寄せられるのかなと思って、常に楽しむ、ポジティブでいるというのを心がけています」
【プロフィール】
川口真奈(かわぐち・まな)●2007年7月12日生まれ、広島県出身、17歳。特技:裁縫、趣味:カリンバ、読書、イラスト。
『第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン』準グランプリ受賞。
株式会社『ベルコ』新CM、NHK『まぐだら屋のマリア』などに出演。2025年夏、広島先行公開の映画『やがて海になる』への出演も決定している。
【作品概要】
映画『金子差入店』
5月16日(金) TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
■出演:丸山隆平
真木よう子 / 三浦綺羅 川口真奈
北村匠海 村川絵梨 甲本雅裕 根岸季衣
岸谷五朗 名取裕子
寺尾聰
■監督・脚本:古川豪
■音楽:Benjamin Bedoussac
■主題歌:SUPER BEAVER「まなざし」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
■配給:ショウゲート
<ストーリー>
金子真司は妻の美和子と差入店を営んでいる。伯父の星田から引き継いだ住居兼店舗で、引退した星田と10歳になる息子の和真と一緒に暮らしていた。
ある日、和真の幼馴染の花梨が何の関係もない男に殺害される。一家が花梨の死から立ち直れないでいた時、犯人の小島の母親から差入の代行と手紙の代読を依頼される。金子は差入屋としての仕事を淡々とこなそうとするが、常軌を逸した小島の応対に感情を激しく揺さぶられる。さらに、小島の母親から息子には話し相手が必要だと思うと再度の差入を頼まれた金子は、小島と話せば話すほど「なぜ、何のために殺したのか」という疑問と怒りに身を焼かれる。
そんな時、毎日のように拘置所を訪れる女子高生と出会う金子。彼女はなぜか自分の母親を殺した男との面会を強く求めていた。2つの事件と向き合ううちに、金子の過去が周囲に露となり、家族の絆を揺るがしていく──。