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2025/03/24 19:31
内木志、事務所無所属となって初の舞台で夢に向かいもがく女性演じる「今、初めてアルバイトしています」
NMB48卒業後、舞台俳優・タレントとして幅広く活躍する内木志が、4月2日〜4月6日、シアター風姿花伝にて上演される、おぶちゃpresents『Bittersweet Flowers』に出演する。舞台俳優からアイドル経験者まで、様々な分野から集まった女性たちによる会話劇に出演する内木に、作品について、演じる役どころ、そして自身の仕事観、今後の活動について聞いた。
■内木志インタビュー
――今回の舞台『Bittersweet Flowers』は、ほとんどが女性キャストという座組になります。共演の方と顔合わせをしてみて、どんな印象でしたか?
【内木】「顔合わせって最初は堅苦しいものなんですけど、今回の『おぶちゃ』さんは、やはり物語が面白いので、和気あいあいとして楽しく顔合わせができました」
――舞台中心に活動されてきた方もいれば、内木さんのようにアイドル経験のあるかたもいらっしゃって、それぞれ個性的なキャリアの方が集まっています。
【内木】「皆さんに合うのが楽しみでした。初演で主役の秋原亜珠沙(あきはら・あずさ)役だったtamico.さんは本当にパワフルな方で、もう一番にぎやか(笑)。一番大きな声で盛り上げてくれて場が和みました。“ちっちゃい声が出せない”っていう、舞台役者らしいすごく迫力のある声量で、稽古場でもみんなを引っ張っていただけそうなので、すごく楽しみです」
――この作品は、学生時代に芝居やエンターテインメントの世界で何者かになろうと夢中になっていた女性たちが、友人の結婚式で数年ぶりに再会することから始まります。今はそれぞれの道に進んでいる女性たちの姿は、かつてアイドルグループに所属していた内木さんとグループの仲間の姿に重なるのではないですか?
【内木】「私は学生時代はそんなに友達がいなかったので(苦笑)、やはりアイドル時代の同期が密に付き合った仲間なんですが、今回のお話とつながるところを感じます。すでに芸能界を離れて一般職に就いた同期もいますし、私はAKB48グループのドラフト生なので、同期はNMB48だけじゃなく、AKB48にもSKE48にもHKT48にもいて。あまり会えないんですけど、実際に事が会うことがあったら、昔話に花を咲かせて、すごく楽しいだろうなって思いながら台本を読んでいました」
――同世代で同じチームでやってきた仲間でも、すでに結婚している方もいらっしゃいますよね。
【内木】「最初に描いていた夢とは違う、新たな夢にたどり着いた人もいたり…。それぞれの境遇を重ねて、女性の様々な生き方を感じることができる作品だと思います」
――内木さんの演じる蘭 由依香(あららぎ・ゆいか)は、脚本家を目指してもがいている最中という役です。役についてはどうとらえていますか。
【内木】「蘭はアルバイトをしながらずっと脚本家を目指しているんですが、プライドを持ちながら頑張っていて、でもどこか一歩踏み出せなくて夢を叶えられずにいるんです。そして結構私に似てるところがあるなって思いました」
――どんなところが似ていると思ったんですか?
【内木】「欠けている部分があるところですかね(笑)。彼女が結婚式の余興のために書いてきた台本を、みんなが“わけわからない”って言うじゃないですか? 実際本当に脚本家を目指してるのかなって思うぐらいめちゃくちゃなんですけど、そこも蘭っぽさなのかなって思ったんです。私も絵がちょっと独特で“画伯”って呼ばれていたり、人と変わっているところを周りから指摘されたりすることもあるので、なんとなく蘭に共感するところがあります。あと最近、アルバイト始めたんです。そこも一緒だなって思います。今、スタイリストのアシスタントをやっているんですけど、本当なら表に出る側の仕事を目指しているのに、今は裏方としてやっていて、でもプライドは持ち続けながら働いているところも似ているのかなと思います」
――内木さんは早くから芸能活動を始めていますが、これまでにアルバイトの経験はあるんですか?
【内木】「高校1年生からアイドルになったので、禁止されていたこともあって、アルバイトって全くしたことがなかったんです。でも今、所属事務所が無くなってしまったことによって、新しい経験ができています。本当はもっと本業の俳優の仕事ができたらいいんですけど、CM撮影やMV撮影にアシスタントで入っているので、そういう現場を見て“いつか出られたら”と思いながら頑張っています」
――そうやって一度環境がリセットされたことによって、ものの見方が変わったのでは?
【内木】「スタッフさんがめっちゃ朝早くから現場に入って準備されているのを直に経験したので、これから現場で“眠たい”とか言わないようにしようと思いました(笑)。そういうことを感じながら働いているので、面白いし刺激的です」
――先ほど「プライド」という言葉が出てきましたが、やはり俳優が本業だと。
【内木】「自分はやっぱり人前に立つ側の人間として頑張りたいという気持ちを強く持ちました。またアルバイトをしている暇がないぐらいになりたいです」
――本作はセリフの掛け合いも多い会話劇なので、稽古も大変そうですね。
【内木】「先日の顔合わせと本読みを見て、脚本・演出の大部恭平さんがめっちゃメモを取っていたんですよ。台本をどんどんアップデートしていて、当て書きみたいな感じで変わっていくみたいです。今回私だけ関西人なので“関西弁でもいいよ”って言ってくださったんですよ。本当に関西弁になりそうで、ちょっと怖いです(笑)。登場人物みんなにスポットが当たって、背景のエピソードがあったりするので、演じどころがありそうで楽しみです」
――12人の女性が登場しますが、なかでも特に共感するキャラクターはいますか?
【内木】「やっぱり蘭が私過ぎて、めっちゃ共感するんですけど(笑)。元子役で3児の母の葛西美奈絵(かさい・みなえ)は、同級生の中で“一番幸せでしょ”“人生の勝ち組”みたいな感じで言われるんですけど、美奈絵は美奈絵なりに葛藤や苦労があるので、共感する方は多いんじゃないかなと思います。観る方がそれぞれのキャラクターに自分をあてはめて観られる作品だなと思います」
――ちなみに年齢的に、同級生の結婚式に出席することもあるのでは?
【内木】「高校生の時の唯一の友達が、兵庫県で結婚式を挙げられたので、初めて出席しました。七つの海と書いてナナミちゃんという子なんですが、海が好きなので、海が見えるところで綺麗な夕焼けとともに結婚式を挙げていて。“理想の結婚式”という自分の夢を叶えていて、すごく素敵だなと思いました」
――今すぐではないにしろ、ご自身の結婚を考えたりしますか?
【内木】「結婚はしたいですけど、友達を呼んで結婚式とかはやりたくないので、写真を撮るだけになるんじゃないですかね。両親はすごくお金をかけて結婚式をしたらしくて、母も5着ぐらい着替えたみたいなんです。長女だからすごく豪華にしてもらったそうで。おばあちゃんはそういう姿を見たいのかなとも考えます。最近ファンの方に言われるんですよ。“そろそろ、ココちゃんもおめでたい話ないの?”って。いい報告を聞いて早く安心したいみたいなんですけど、でも今は結婚を考えている余裕は全然ないですね、残念ながら」
――今回の作品で観てほしいところについて教えていただけますか?
【内木】「学生時代の同級生のシーンと、今現在の“久しぶり”なシーンでの、みんなの会話の差を見てもらえたらいいなと思います。そして主人公の亜珠沙の過去に何があったのかに注目して見ていただきたいです。最終的には爽やかな“読後感”のある作品になっていると思うので、楽しんでいただけたらと思います」
――アイドルを卒業された後、俳優として活躍を始めているところで、所属事務所が無くなってしまうというニュースが届きました。今回の公演がリスタートの第一歩になると思いますが、今後どんなふうに活動していきたいと考えていますか?
【内木】「私は舞台が好きなので、舞台を中心にたくさんの作品に出て、より大きな舞台にもいつか立つことが出来たらと思っています。ストレートでナチュラルな作品も好きなんですが、オタクな部分もあって、2.5次元やアニメも大好きなので、そういう作品も出たいと思っています。そして朝ドラにも、いつかおばあちゃんになってからでもいいから出たいと思っています。俳優はおばあちゃんになってもできるので、自分の体力が続く限り続けたいと思っています」
――元々は雑誌の時代から『デビュー』とは縁があるんですよね。
【内木】「母が毎月『月刊デビュー』を買ってくれていて、小学生から中学生のころまで、“私これ受けたい!”とか母と一緒にオーディションを選んで応募していました。小学6年生の頃に中川翔子さんの妹分オーディションでファイナリストになったんですが、選ばれなかったのが悔しくて、そこから火が点きました。そして、朝ドラの『あまちゃん』を観てから“アイドルになりたい”と思って、AKB48のドラフト会議に応募したんです」
――今までのキャリアの中で一番長いアイドル生活は、内木さんにとってどういうものでしたか? ご自身の成長や変化を感じたことは?
【内木】「人見知りで引っ込み思案な性格だったんですけど、ステージに立って歌って踊ったり、ファンサしたりできるようになったことが、一番変わったところですね。そしてアイドル活動の間に自分のやりたいことが見つかりました。卒業の少し前に、エグスプロージョンのまちゃあきさん演出・振付を務めるノンバーバル(セリフの無い)演劇に出演したんです。初めて一人でアイドルじゃない活動として舞台に立ったのがすごく楽しくて。運命の作品に出合ったと思いました。それが舞台を中心に活動したいと思うきっかけになったんです」
――改めてこの作品を観る方に向けてのメッセージをお願いします。
【内木】「この作品は再演なんですが、初演とはまた違う今回だけの『Bittersweet Flowers』になると思います。前回観てくださった方にもぜひ観ていただきたいですし、蘭役も私にぴったりの役なので、楽しみにしていただきたいと思います。男性と女性で観た印象が違うらしいので、老若男女、幅広い方に観に来ていただきたいと思います。舞台デビューから約5年、30本目の舞台作品となります。回を重ねるごとに、素敵な女優さんになれるように頑張っていきたいなと思うので、これからも応援よろしくお願いします」
■内木志(ないき・こころ)
1997年4月6日生まれ、滋賀県出身。2019年にNMB48を卒業後、俳優、タレントとして活動中。
映画『右へいってしまった人』『さよならモノトーン』
写真集『こころまち』『various』『こころ模様』
DVD『こころのこころ』、トレカ発売
滋賀県日野ひなまつり紀行アンバサダー
■おぶちゃpresents『Bittersweet Flowers』
シアター風姿花伝 2025年4月2日(水)〜4月6日(日)
【イントロダクション】
披露宴の余興の練習。
新婦のお祝いのため、数年ぶりに集う女たち。
新婦はかつて学校の人気者だったが、
現在は学校の教師として静かに暮らす。
今はそれぞれの道に進み、離れ離れだったせいか
懐かしさで思い出話に花が咲く女たち。
と、1人の女が口を開く。
「ごめん。私、本当はここにいちゃいけない女なの」
垣間見える、新婦と女たちの心の溝。
かつて一花咲かせるため切磋琢磨した女たちの、
甘くほろ苦い物語。
脚本・演出:大部恭平
出演:稲村 梓、野元 空、内木 志、瀬口美乃、じん(アイオケ)、三田萌日香(アイオケ)、飯田菜々、田中杏佳、安達優菜、飯山さな、tamico.、大部恭平