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2025/01/26 15:01
俳優・橋本禎之、俳優志望者へのメッセージ「苦痛になるぐらい、映画やドラマを“観る”ということを意識してほしい」
エンタメ界の新人発掘に特化したオーディションメディアとして41年の歴史を誇る『デビュー/Deview』が芸能プロダクション150社の新人募集情報を特集した『冬の特別オーディション2025』を開催中。同特集に参加している「ヴァンセット・プロモーション」所属の橋本禎之氏は、長く活躍する俳優として確かなキャリアを持つ一方で、同社の所属新人の選考から育成にも携わっている。今回橋本氏に、将来俳優デビューを目指す人に必要なことを、俳優の先輩として、そしてオーディションの審査員の立場として語っていただいた。
【ヴァンセット・プロモーション所属/橋本禎之インタビュー】
――アクションを活かして『キングダム2 遥かなる大地へ』のような大作映画にも出演なさっている橋本さんですが、昨年は「舞台『軽井沢殺人事件』〜浅見光彦VS信濃のコロンボ〜」など舞台でも活躍されています。
【橋本】「昨年の舞台はいわゆるミステリーものでしたが、僕はアクションのある役だったので、ちょっとした振りを見せたら、共演させていただいた方が“君、いい動きしてるね”ってが褒めてくださったんです。僕は時代劇が大好きで、長年『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』等で活躍されてきた横内さんは憧れの人だったのですごく嬉しかったんです。その時、アクションをずっと続けていて良かったなと思うと同時に、いつかまた別の作品でも横内正さんとご一緒させていただける機会が本当に待ち遠しく感じました」
――一つの仕事が次の仕事へと繋がっていくのは、俳優としては理想的ですね。
【橋本】「うちの社長は『俳優も営業マン』と皆に言ってるんです。現場で最大限のパフォーマンスをすることが一番の営業になると思っているので、そのことは意識しています。主役ならば自分が面白いとか、目立つことが必要な場面もあると思いますが、そうでない場合は、自分が目立つことより作品がより良くなるような、悪目立ちをせず作品の邪魔にならないような役作りも大事。また次も呼びたいと思ってもらえるような心構えで参加しています」
――橋本さんは事務所の新人オーディションでは審査する側に回ることもあると聞きますが、どういう人が目に止まるのか教えていただきたいと思います。
【橋本】「役者は華やかな世界のように見えて、辛い勉強を続けている時間がほとんど。だからエンターテイメントや芝居に対して、どれだけ情熱を持っているのか、好きな度合いが強いのかというところを見ます。それがないと辛くて辞めちゃうだろうし、逆に好きだからこそあらゆる作品を自発的に観ると思うんです。映画や演劇だけじゃなくて、歌やお笑いなど様々なステージを数多く観て、自分の中にインプットすることが大事。それを積み重ねて初めてアウトプットできるんです。苦痛になるぐらい観ることができてはじめて役者として成長できるので、どれだけ好きなのかは重視します。自分が好きなものを語るときの表情って魅力的に映るので、初めて会う人の前で、好きなものについて笑顔で語って、自分の魅力を出せる人、というのが基準になると思います」
――ご自身はずっと役者を続けてきて『好き』というモチベーションは下がっていないものですか?
【橋本】「いろいろなものを知るともっと欲しいと思うので、下がってはいないです。恥ずかしながら、芝居を始める前まで、シェイクスピアのような古典の舞台はほとんど観に行ったことがなかった。でも芝居をやるからには避けられないと思って観に行ったら、これが面白かったんです。映画やテレビのような技術のない昔から、連綿と繋がっているエンターテイメントの元祖がなぜ現代まで残って来たか、観ればやはり感じられるものだと思う。知れば知るほどもっと奥深く知りたくなるし、いろいろなものに食指が動くようになったと思いますね」
――エンタメについて興味の持つだけではなく、大学で遺伝子の研究をするようなバリバリの理系でありつつ、ドラゴンボートという競技で全国制覇をしたりと、様々なことに興味を持ち実践していますね。
【橋本】「役者は、これまでやってきたこと全てが糧になるので、無駄にはならないと思います。一例を申し上げますと、大学時代にボートに熱中していたことが『レガッタ』という大学のボート部を題材にしたドラマ出演に繋がったり、そういうことも役者の仕事の面白さの一つだと思います」
――またスペシャリティとしてアクションを持っている。今や俳優さんにとってアクションは必須科目のようになってきている気がしますが、どうお感じですか?
【橋本】「現場にはアクション担当の方がいるので任せるべきところは任せます。ただ顔が映るカットや、できる範囲は自分で演じるので、ちょっとした構えや、目線の動かし方も全く知らないとどうしても嘘っぽくなってしまうんです。運動神経の良し悪しといった才能の部分もあるので、必ずしもアクションを学ぶことが成功につながるかどうかはわからない。でも、例えばパンチという一つの動きをとっても、どういう体の使い方をしているのかを知ることは芝居に活きてくるので、アクションを経験することは有効だと思います」
――今、俳優志望の若者を見ていて、意識しておいてほしいと思うことはありますか?
【橋本】「最近の10代から20代は、あまりテレビを観ないで、YouTubeやTikTokのショート動画を見ている子が多い。昔は地上波のテレビで毎週映画を放送していたので、お茶の間に座っていたら観れていたけど、今の子は映画を観る機会が少なくなっているのかなと思うんです。俳優になりたいと思うのなら、積極的に“観る”ことをしてほしいと思います。何分も何十秒もない動画ばかりを観ているから、今活躍しているは俳優たちがどんな想いで芝居をしているのか理解できないだろうし。自分の目指すところも限定されてしまうと思うんです。いろんな作品のジャンルがあって、いろんな俳優さんのタイプがあるということを知ることで、可能性も広がると思います」
【プロフィール】
橋本禎之(はしもと・ただゆき)
11月14日生まれ、岐阜県出身
身長178cm
【主な出演作】
ドラマ『パンドラの果実』(NTV)、『正義のセ』(NTV)、『花咲舞が黙ってない』(NTV)他、映画『るろうに剣心-The Biginning-』、『アルキメデスの大戦』、『Brave Hearts 海猿』ほか
特技:乗馬、ハンドボール、スキー、ドラゴンボート(全国大会優勝)、ピアノ
ヴァンセット・プロモーション所属