才能ある声優の卵を発掘・育成する『第十八回声優アワード 新人発掘オーディション』が9日、文化放送メディアプラスホールにて開催された。最終選考に出場した38名のうち、23名の声優のたまごたちに声優事務所のスカウトの札が挙がった。最終審査のステージで4社からの指名を受けた、愛知県出身の22歳・中村真己人さん（なかむら・まこと）さんは、

　『声優アワード 新人発掘オーディション』は、年度毎に印象に残る活躍をした声優を称える『声優アワード』の誕生とともに産声をあげ、今年18回目の開催。事前に行われた声優事務所による一次選考を通過した38名が最終選考に進出。同日に名だたる声優が登壇する『声優アワード受賞者発表番組』と同じステージを使い、自己PR・テキストリーディング・2人1組でのシナリオリーディング・質疑応答の審査を実施。そして、最終的に23名に参加声優事務所からスカウトの札が挙がった。

　4社のスカウトを受けたことについて「どこのスカウトの札も挙がらないのではないかって、お昼休憩の間不安だったんです。不安なままステージに上がったら、すぐに2枚挙がって、その後また2枚上がったので、“良かった〜”っていう安堵から“え！？多い！”っていう驚きに変わって、本当に晴れやかな気持ちになりました」と喜びを新たにする中村さん。しかし「1日中ずっと緊張で震えていたので、100%を出せたと断言はできなくて。こういう場面がこれからどんどん増えていくと思うので、場慣れして経験を積んで、もっと素晴らしい声優さんになりたいと思いました」と反省も忘れない。

　自己PRは練りに練ったという。「制限時間があるので、言いたいことを絞って、事前に何度も練習しました。歌が好きなことをアピールしたかったんですが、もっと歌が上手くて実際に歌う人は多分いると思ったので、自分が歌う時に何を意識しているのかを言葉にして自己PRに繋げました。自分は歌詞やメロディー、世界観をしっかりと相手に伝えることを楽しむ歌い方をするので、そのことを声優としての理想像と繋げてアピールしました」。

　そのほかの審査の課題は「ナレーション」と「掛け合いセリフ」。「以前養成所に通っていたんですが、1年ぐらいブランクがあって。ナレーションは元々下手くそだったので、この1年間で一番自主練習したのはナレーションなんじゃないかって思うほどでした。掛け合いセリフは、久しぶりに人を相手に掛け合いをしたので、すごく楽しみにしていましたし、実際楽しめました。相手の方とはすごくたくさん話し合った上で、ほぼぶっつけ本番で演じたんですが、話し合った結果がいい感じの掛け合いができたと思います」。

　司会の長谷川太（文化放送アナウンサー）は、中村さんに対し「鼻濁音が出来ている」と言葉をかけてくれた。「めちゃめちゃ嬉しかったです！これまで鼻濁音ができていなかったので、できるように猛練習しました。僕は苦手なものを克服するのが好きなので、その努力をプロの方にちゃんと評価してもらえたことは、すごく嬉しかったですし、涙がでそうでした」と喜びを露にしていた。

　声優の世界を目指したきっかけについて「小さい頃から芸事に興味があって、ドラマを観たら俳優さんになりたくて、芸人さんのコントを観たら自分もやってみたいと思ったりしていたんですが、ずっと憧れで止まっていたんですね。でもある時、アニメの声優さんの演技に魅了されて、アニメが好きという気持ちが120%を超えてしまって、自分も同じように作品を作りたいという気持ちが強くなったんです」とその想いを語る中村さん。

　特にその想いを強くした作品と声優を聞くと「『東京喰種トーキョーグール』の金木研役の花江夏樹さんの演技」だという。「『東京喰種トーキョーグール』という儚い作品がすごく大好きで、その世界観にすごくマッチしたお芝居をされていて魅了されました。花江さんのように激しく感情を揺さぶるような演技をしたいと思い、声優の世界を目指しました」と目を輝かせた。

　これから目指す声優像について、「今、本当に辛いことがいっぱいあると思うので、それを少しでも支えられるような、そんな楽しいことを提供していけるような声優が理想です。アニメの声優はもちろん、ラジオがめちゃくちゃ好きなので、パーソナリティとして楽しいラジオ番組を作ったり。大好きな歌を歌ったり。とにかくいろいろなことに挑戦していきたいと思っています」と語った。