第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作『ミッドナイトスワン』の内田英治監督と女優・真飛聖が24日、ワタナベエデュケーショングループの特別授業『LABO』に参加。エンターテイメント業界を目指す学生たちに向けて、撮影の裏側や演技について、オーディションの審査で見ているポイントなどの講義を行った。

　特別授業『LABO』は、ワタナベエンターテインメントとその直結でスクール運営を行うワタナベエデュケーショングループが、同社所属のアーティストを講師に迎え、タレント自身の経験やノウハウを元に、「演技について」、「テレビでの振る舞い」といった様々なテーマから、「魅力って何？」、「自分に向いていることって？」など、エンターテイメント業界での活躍を目指すスクール在校生からの悩みや質問を一緒に考え、プロフェッショナルな表現者と共に夢を叶えるための方法を考えていく教育プロジェクト。

　今回の内田監督をゲストに迎え、『ミッドナイトスワン』にも出演したワタナベエンターテインメント所属の女優・真飛とのコラボスペシャル『LABO』には、ワタナベエデュケーショングループに在籍している役者志望の学生を中心に、会場とオンライン（ZOOM）に分かれて全国から参加。

　『ミッドナイトスワン』の現場でのエピソードについて内田監督は、「真飛さんとは一番コミュニケーションを取りましたね」と話し、「役を作り上げていくのは、現場。現場で生まれてくるものを大切にしたい。その為にもコミュニケーションは大切ですね」と語った。一方の真飛も、「最初バレエの先生役出来るかな？と思いすぎて、作られたものになっていたんです。でも、そんな私を監督がどんどん崩していってくれたことで吹っ切れました！」と笑顔を見せた。

　次に、オーディション時に着目していることについて聞かれた監督は、「5人1組でのオーディションの場合は、前に出て演じている人よりも、その後ろで待機している4人を見ています。素の表情というのは、現場でも裏切らない。その人間が持っているものなので、それを信用するようにしています」とコメント。日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田監督の考えを聞けるという貴重な機会に、エンターテイメント業界を志す学生たちは一語一句を聞き逃さないように耳を傾け、メモを取っていた。

　また、学生からの質疑応答のコーナーでは、「『ミッドナイトスワン』を観ると、ポスターと作品の印象が違うように感じました。何か意図はありましたか？」との質問に、内田監督は「すごく違うほうがいいなと思って。とにかくギャップを意識しました。予想は裏切って、期待は裏切らないように。役者も同じで、ギャップを大切にしてほしい」と回答。真飛には「役者を続けていく上で大切にしていることは？」との質問があり、「宝塚時代は生活感を感じさせないようにしていましたが、実は料理も掃除も大好き。日頃、日常からやっていることが、お芝居に必ず活きるので、何でもやってみることが大切だと思います！」と話した。

　イベント終盤、4月16日（金）よりU-NEXTにて先行配信がスタートした監督の新作配信作品『列島制覇-非道のうさぎ-』についての話題に。内田監督と再タッグを果たしたことに真飛は、「同じ監督からお声が掛かった時に、役者をやっていて良かったなと心から思えるので、本当に光栄で嬉しかったです！ 1回でも多く監督と仕事がしたいです！」と嬉しさを滲ませた。内田監督は、「こうまで人のお芝居は変わるのか。と思うほど真飛さんの芝居が変わって良くなっていた。『列島制覇』は、『ミッドナイトスワン』から一転して、Vシネマのような世界観。これもギャップを楽しんでほしい」と明かした。

　最後に本日の感想聞かれると真飛は「皆さんの真剣な眼差しを見て、初心の気持ちを思い出しました、皆さんとご一緒にお仕事する日を楽しみにしています！」と学生たちに語り掛け、内田監督も「少し厳しいかもしれませんが、ここにいる9割の人は役者を辞めてしまうかもしれません。でも、自分の好きなことをやり続けてください、残りの1割になれるようしがみついてください。表現をすることを続けて欲しいです。何年後かに現場で会えることを楽しみにしています」とエールを送った。