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2020/01/31 12:20
芸能プロダクション新人開発担当者の心の中をのぞいたら…? 就活・入試にも繋がるオーディション突破のヒント
オーディションメディア37年目の『デビュー/Deview』が、芸能プロダクションとのリレーションを活かし、新人発掘に積極的な123社の新人募集情報を一挙掲載する大特集『冬の特別オーディション2020』が現在開催中(2月3日まで応募受付)。業界有数のデビューのチャンスと言えるのだが、応募する際に気になるのは、審査にあたるスタッフの視点。そこで今回募集に参加しているプロダクションから、ジャパン・ミュージックエンターテインメントグループとソニー・ミュージックアーティスツの新人開発担当者に取材。新人開発の方法、近年の応募者の傾向から、審査の際に重視する点、そして期待する人材像まで話を聞いた。オーディションはもちろん、就職活動の際にも役立つかもしれない言葉に耳を傾けていただきたい。
今回話を聞いたのは、あまたある芸能プロダクションの中でも、新人開発専任のスタッフを置いているジャパン・ミュージックエンターテインメントグループ(以下JME)とソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)の2社。JMEは実践型の芸能スクール「ジャパン・エンターテインメント・アカデミー(JEA)」と、その間を繋ぐ新人部門のアイズ(ais)とのトライアングルを活用して新人を発掘・育成している。現在aisの代表取締役を務め、グループ全体の新人開発を統括している水谷智彦さんは「かつては各マネージャー単位や、新人部門、養成所でそれぞれに行っていた新人開発を総合的に行うように体制が変わりました。各マネージャーがスカウトした即戦力候補を連れてきて、それが上手くいかなかったら今年の新人はゼロ、となってしまうより、毎年コンスタントに新人をデビューさせるために、ある程度の人数を抱えて時間をかけて力のある若手を育てる必要がある。そのための場所として、JMEグループの新人開発部門のアイズがあります。デビューからの応募は生徒として募集したわけではないので、アイズで預かり、養成所で無料のレッスンを受けてもらいながら育てています」と語る。
SMAは企画開発本部のなかに新人開発部・開発ルームという部署があり、アーティスト、タレント、声優など様々なジャンルのオーディションを主催。企業やメディアとのコラボレーションしたオーディションや、ライブハウスでのスカウトなど、専任スタッフが様々な新人開発の活動を行っている。SMA企画開発本部・新人開発部・開発ルームの中島真由美さんは「いろいろなジャンルやスタイルのオーディションを企画開発し、そこで発掘した人材を、マネージメントを行う制作部にプレゼンテーションしています。毎月のルーティーンで開催しているオーディションのほかに、毎年行う大型のオーディションや、制作部からの現場の声をすくって、『お題』に沿ったオーディションを開催しています」。
両社はデビューにて定期的にオーディションを掲載。最近の応募者の傾向についてJMEの水谷さんは「真面目な人が多くなったなと感じています。ちゃんと演技の専門学校やワークショップに通っていたり。そういう情報や場所が増えたこともあると思うんですが、野心だけで突っ走るより、きちんと段階を踏んで行こうとする人が増えている。それはいい部分でもあると思いますけど、芸能界ってそういう真面目さと直接イコールではないのが難しいところで。今は事前の情報があってなんでもできる分、行動力のある人、発信力のある人、考えるより先にやっちゃっている人のほうが強いということもある。教えてもらおうというスタンスの人よりは、とりあえずやってみようと思う人のほうが、結果が出やすい事もあります。だからこそ、きちんと学んでいる人たちも、受け身になってはいけない」と語る。
オーディションの応募者にとっては、審査員は応募書類のどんなところを見ているのかが一番気になるところ。SMAの中島さんは「やっぱり一番最初に目につくのは写真なので、写真でご自身をアピールできれば一番いいと思うんです。例えば『テニスの大会で1位でした』と書くのもいいんですけど、テニスをやっている風景の写真があったら想像しやすい。もちろん正規のバストアップと全身写真は欲しいんですが、そういう写真を添えていただいてもOKです」とアドバイス。JME・水谷さんは「趣味や特技や過去の経験など、俳優やタレントとしてやっていくのに必要な情報が書かれているほうがひっかかりやすいのに、意外と書いていないんですよね。特技というとスポーツや資格にこだわるんですけど、例えば今の時代なら、マンガやゲームなどの趣味が仕事になることもあるのに、面接で聞かないと分からないことが多くて」と、アピール不足の点を指摘する。
SMA・中島さんは「以前面接をさせていただいた男の子が蝶にとても詳しくて、家で何百匹も買っているという話をしてくれたんです。全く未知の話だったので、私たちのほうが質問攻めにした時がありました。蝶の話をしているときの彼は、すごく目がキラキラしていて魅力的でしたね」というエピソードを明かす。それだけに「文章で表すのは難しいと思うんですけど、一番最初にその人のことを知ることができるのは応募書類なので、一番力にアピールしてほしいですね」と力を入れる。JME・水谷さんも同様に「“頑張ります”と熱意を言葉で伝えてくる人は多いんですが、それよりも自分の価値、売り、能力を自己分析するなり、周りに聞いてみるなりするといい思います」と言う。
面接で会ってみたいと思う人については「自分のこだわりや特化した部分を前面に出してくれたら嬉しいし、知りたいと思います。ヘンなことをしたり奇をてらう事とは違って、自分が熱くなれるものを素直に出せると好印象です」と中島さん。実際、そういう部分があると所属後にオーディションで有利だったり、仕事に繋がることもあるそうで「土屋太鳳ちゃんは小さい頃からバレエや日本舞踊を習っていたということもあり、Sia(シーア)さんのMVでは見事なダンスを披露できることに繋がり、そこからまた紅白歌合戦やドラマ『チア☆ダン』にも広がったり。眞嶋優ちゃんという子は、サッカーが大好きで、SMA社員のフットサル大会にも呼ばれていたんですが、その場にいたスタッフが“そんなにサッカーできるんだね!”とフットサルブランドのモデルにキャスティングしたり。そうやってスタッフとコミュニケーションが取れるというのも大事です」というエピソードを教えてくれた。
水谷さんは「この業界って、時代が変わっても人と人との関りがベースなので、社交性や行動力、好奇心が実は一番大事。今は一人で用が足りてしまう時代なので、みんなで何かをするという人が減っているけれど、人と関わることは大事にしてほしいし、そういう部分が欠けているのがもったいないと思うんです」と苦言。そして「見た目やお芝居のことを意識し過ぎて、意外と人間性の大切さが盲点になっているかもしれない。芸能界は人との会話やコミュニケーションの能力がモノを言う世界だから、そういうものを持っている人は、今の時代は逆に強みになる」とアドバイスをくれた。
今後の新人開発についてSMA・中島さんは「会社全体としてキッズはあまり育成してこなかったので、今後10歳から下の年齢を対象にしたオーディションも出来ればと検討しています。また新潟や富山などの地方で、東京まで出てこなくてないけない事で諦めてしまっている方々を対象にした、エリア限定のオーディションなどにも取り組めたらと思っています」(中島さん)と、リーチできていない層に向けてのオーディションの発信を検討中。JME・水谷さんは「昔からうちの事務所は“こうじゃなきゃいけない”じゃなくて“こうなったら面白い”という考えの元にやっているので、いろんなタイプが所属しています。特定の分野に特化せず、面白いと思えるかが判断基準なので、必然的にちょっと変わった人が来ているのかもしれません(笑)。いい意味でのこだわりと、新しいものに対応できる柔軟性を持った人に出会いたいですね」と新たな出会いに期待していた。
『冬の特別オーディション2020』では新人発掘に積極的な123社の芸能プロダクションをセレクト。審査・合格後の際の費用は一切不要。さらにこの募集を通じて合格・所属となった場合は、デビューが活動を応援していく。蒼井優(イトーカンパニー所属)や有村架純(フラーム所属)らも、デビューのきっかけをつかむなど、芸能界に多数の人材を送り込んでいるデビュー『特別オーディション』。今年も参加芸能プロ各社が逸材の登場に期待している。『冬の特別オーディション2020』はオーディション情報サイト「デビュー/Deview」でエントリー受付中。