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2018/06/08 08:41
パルムドール受賞の映画『万引き家族』で世界が注目、オーディションで見出された”期待の新人”11歳の城桧吏の素顔に迫る
第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で最高賞・パルムドールを受賞した、是枝裕和監督作品『万引き家族』が、いよいよ本日8日より全国公開される。是枝監督とは4度目のタッグとなるリリー・フランキーをはじめ、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林などの実力派俳優が名を連ねる中、11歳の俳優・城桧吏が堂々たる熱演を見せ、国内のみならず海外からも高く評価されている。
東京の下町で、今にも壊れそうな平屋にひっそりと暮らし、生計を立てるために家族ぐるみで万引きなどを重ねる家族の人間模様が描かれる本作。リリー演じる父・治と安藤演じる母・信代とともに暮らす、息子・祥太を演じた城に、パルムドール受賞後の周りの反響や撮影現場で印象に残っていること、将来の夢などを聞いた。
城は2006年9月6日生まれ、東京都出身の小学6年生。7歳の時にスカウトされて芸能界入りを果たし、俳優として活動する一方、所属事務所・スターダストプロモーションの若手俳優で構成される『EBiDAN』内のユニット「スタメンKiDS」のメンバーとしても活躍中。
パルムドール受賞後の周りの反響については、「『すごいね!』『おめでとう』という言葉をたくさんもらって。あと、『いい作品に出させてもらって良かったね』と言ってもらいました」と語り、「一番いい賞をもらうことができて、最高!嬉しい!!と思いました」と胸の内を明かす。監督やリリーら共演者ともに、初めて降り立ったレッドカーペットでは、タキシードに身を包み、時折笑顔を見せながら手を振っていた城だが、実は「すごく緊張していた」と告白。「笑顔は出ていたかもしれませんが、心の中では超緊張していて、ドッキドキでした」と明かし、「でも、街がとてもキレイで、一生の思い出になりました」と振り返った。
息子・祥太役の城と、父・治に拾われるゆり役の佐々木みゆは、ともにオーディションによって見出された期待の新人。城はオーディションを振り返り、「受けるからには受かりたいという気持ちで全力でやったので」と話しつつ、出演が決まった際は「嬉しくて飛び上がりました」と満面の笑みを浮かべる。
これまでの是枝作品同様、今回も子役の二人には台本を渡さず、現場での口立てで演出。「台本をもらってなかったので、特に事前の準備はできなかったんですが、現場では祥太になりきることを心がけていて。自分が祥太だと思って心を作って、その場の状況に合わせて演じてみたりしていました」と述べ、「その場、その場で、祥太は今何をしているのか、考えているのかを監督から言われて、実際にお芝居するという感じだったんですが、監督はとても演技指導がわかりやすくて、しかもとっても優しくていい人なんです!」と力説。
豪華キャスト陣に囲まれつつも、無邪気な笑顔や大人びた表情など、瑞々しくも堂々とした演技で存在感を放っていた城。「撮影に入る前は、すごい俳優さんたちがいっぱいいて、大人の方々ばかりの現場だったので、最初はとても緊張しました。でも、スタッフさんやキャストの方々と仲良くなって、いろいろとお話をするようになってからは、緊張しなかったです」と撮影現場を振り返る。
また、共演者について「リリーさんは、寒かった日にホッカイロで僕の耳を温めてくれたり、肩をもんでくれたり、とても優しかったです。あと、安藤さんは、いつも面白い話をしてくれたり、昔学校で歌っていたという面白い歌を歌ってくれたりして、すごく楽しかったです」と、安藤が自作の歌を披露してくれたエピソードを語り、「安藤さんが教えてくれた歌を学校の友達の前で歌うと、盛り上がって(笑)。みんながすごく笑ってくれました」と愛嬌たっぷりの笑顔で答える。
印象に残っているシーンは、父を演じるリリーとの魚釣りのシーンだそうで、「魚釣りの撮影をしている途中で、ルアーが何かに引っかかったんです。それで、頑張って引いて釣りあげたら、腐った貝でした(笑)。すごく重たかったし、もしかして魚かな?って一瞬ワクワクしたんですけど、まさか、腐った貝が釣れるとは思わなくて。あとで、監督さんのカメラで、腐った貝と一緒に写真を撮ってもらいました」とニッコリ。
俳優という仕事の楽しさについては「いろんな方とお話して仲良くなれることもそうなんですが、撮影自体もすごく楽しいです。あと、普通に生きていたら経験できないようなことをやれるのも楽しい」と述べ、「今回の作品だったら、いけないことだけど万引きとか、高いところから飛び降りたりするシーンとか、普通だったら怪我しちゃうけど、下にマット敷いたりして撮影したり。そういうことを実際に体験できることも楽しいです」と打ち明ける。
スクリーンでもまっすぐ前を見据えた眼差しが印象的だったが、インタビューの受け答えもしっかりと自分の言葉で一つひとつ丁寧に答えていた城。本作で一気に注目され環境も劇的に変化するであろう、この状況に対しても「いつもの自分でいるほうが落ち着くので、特に意識せず、いつもの自分でいようとは思います」と吐露。大人びた表情を見せる一方、学校で流行っていることや夢中になっていることを聞くと「人狼ゲームです。クラスで流行っているんですが、誰か一人が人狼ゲームやろうって言うとみんな集まってきて、やっています」と小学生らしく無邪気な笑顔を見せるひと幕も。
今後、ますますの活躍が期待されるが、将来挑戦してみたいことについては「アクションやホラー系をやってみたい。アクションでワイヤー使って飛ぶシーンとか、普段できないことをやってみたいです」と告白。「担任の先生が昔体操をやっていて、筋肉ムキムキで、バク転とかバク宙とかをみんなの前で披露してくれるんです。それで、先生がみんなにバク転を教えてくれて、先生の補助付きでバク転ができるようになりました」と語り、アクションへの意欲を見せた。さらに、目標とする俳優について「憧れの俳優はリリーさんです」と明かし、「今回共演させていただいて、演技もすごく上手いし、いつも笑わせてくれたり優しい方で、自分も将来そういう俳優さんになりたいなって思いました」と目を輝かせた。
【プロフィール】
城桧吏(じょう・かいり)●2006年9月6日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。7歳のときにスカウトされ、芸能界入りを果たす。本作品はオーディションで抜擢された。俳優として活動する一方、スターダストプロモーションの新人&若手俳優で構成される『EBiDAN』内のユニット「スタメンKiDS」のメンバーとしても活躍中。