舞台演出家・G2とパフォーマー・松尾貴史で結成された演劇ユニット「AGAPE store」による舞台、『七つの秘密』が15日に新宿・紀伊國屋ホールにて開幕し、初日公演直前に、公開稽古が行われた。

　「AGAPE store」は、1998年の結成以来“好きなことを好きなときにやる”をモットーに、毎回多彩なゲスト出演者を迎え、中島らも、後藤ひろひと、倉持裕など多種多様な公演を上演。2010年に『残念なお知らせ』を最終公演とし、一度は解散するも、14年12月に『君はフィクション』で活動を再開。今作が復活公演第2弾となる。今作では、コントユニット「男子はだまってなさいよ！」の主宰を務めるほか、脚本家、放送作家、映画監督としてマルチに活動を続ける、細川徹が脚本を担当。出演は、松尾を軸に、シルビア・グラブ、大高洋夫、坂田聡ら実力派の舞台俳優たちと、池田純矢、宮崎秋人、東加奈子という、今注目のフレッシュな俳優たちが集結。

　物語の舞台はとある小さな会社のオフィス。明かりの消えた誰もいないオフィスで、何やらコソコソと不審な動きをしている事務の市川（松尾貴志）。そこに、何も知らずやってきた経理の川島（シルビア・グラブ）。“一体なぜ、こんな時間に!? まさか自分の秘密を知られたのでは？”と焦る二人。その夜以降、ギクシャクする二人の様子に、営業の黒木（東 加奈子）は疑惑の目を向ける。そんな黒木と市川の会話をたまたま耳にしてしまった経理の鈴木（宮崎秋人）。“えっ、あのふたりって…!?”しかしその鈴木にも誰にも言えな秘密があった。そして、その秘密を知ってしまった課長・溝口（大高洋夫）や事務の勅使河原（池田純矢）の秘密も次々と発覚。そこに互いの思惑が複雑に絡み合い、気づけば社内は大混乱に。果たして、社内一のおしゃべり魔・営業の水野（坂田 聡）に、彼らの秘密は守られるのか――？

　他人の秘密を知ると黙っていられないおしゃべりな営業や、真面目だか居ても気づかれほど存在感が薄い若手の経理など、それぞれキャラの濃い登場人物たちの秘密が、物語が進むにつれて、次から次へと明らかになっていく。それと同時に、偶然知ってしまった他人の秘密への衝撃や動揺“もしかしてバレたかも？”という焦りなどで、社内、そして人間関係も大混乱に。“まさかあの人にこんな秘密が!?”など、社内でうずまく秘密の連鎖に思わず笑ってしまう展開が満載で、観るものを飽きさせない。

　初日を迎えた松尾は「ご来場、誠にありがとうございます。嬉しゅうございます。今回はまた、いつにも増してご覧いいただいた後に何も残らない無農薬、有機農法のデトリックス公演です。もしチャンスがあれば二度、三度ご高覧頂きますと、さらにカタルシスを感じていただけることと信じて止みません。♯拡散希望です」とコメントを寄せた。

　AGAPE store『七つの秘密』は、東京公演：1月15日（金）〜24日（日）紀伊國屋ホール、大阪公演：1月29日（金）〜31日（日）近鉄アート館にて上演。