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2015/11/04 20:58
芸能生活45周年の研ナオコ、学生製作の商業映画に出演
「学生による商業映画の製作」をテーマに映画製作・公開を行っているトリウッドスタジオプロジェクト。その10年目にして10作品目の作品『色あせてカラフル』が7日(土)、下北沢トリウッドで公開となる。同作には「若い人と映画を作る」という企画に賛同した、芸能生活45周年の研ナオコが出演。ネギを振り回しながら、主人公に影響を与えるおばさんを怪演している。
『色あせてカラフル』の脚本・監督は、専門学校東京ビジュアルアーツ・映画学科映画監督専攻2年の横山久美子。彼女の体験を基にしたという本作品のテーマは「過去の自分との関わり」。主人公の奥本カナミ、23歳は、生まれつき顔にあった大きなあざのせいで、今も「他人の視線が気になる」「写真に写るのが苦手」「鏡に映った自分を見るのが嫌い」。今はすっかり治っているのに、楽しい時でもふとしたきっかけですぐ思い出してしまう…。
スマホの内側でずっと走っている「アプリ」のように、心の中の容量を食いながら、ふと普段の行動に影響を与える、隠しておきたい「過去」。誰にでも心当たりのあるシリアスなテーマを、逃げずにまっすぐ取り上げつつ、軽やかに描き出すことに成功している。観終わった後には、少し心が軽くなったような感覚になるはずだ。
作品が重たくならないわけは、監督のナチュラルな語り口と共に、ベテランから若手までが揃った出演陣の好演にある。主人公・カナミ役を務めるのは、ドラマ『表参道高校合唱部!』に出演した佐藤玲。その微細な心の動きを表現する表情に注目だ。カナミが出会い、自分と向き合うきっかけとなる男性には、落合モトキ、黒羽麻璃央、水間ロンら注目の若手俳優をキャスティング。また、転機となる美容院のオネエ店長を田中要次、そして芸能生活45年の研ナオコが、ダンボールハウスに住むおばさんを演じている。コミカルな演技で、主人公に気付きを与える重要な役回りを担っている。
横山監督はこの映画に「過去は自分に染み付いていて忘れられないから、自分にとっては厄介なもの。だけどみんなもそうなんだから、悲観的にならずもっと前向きに人と関わっていいと思う」という言葉を寄せている。『色あせてカラフル』は、そんな素朴なメッセージが、自然と腑に落ちる小品だ。