PARCO劇場にて上演が開始された「ねずみの三銃士」第3回公演、『万獣こわい』の公開稽古が行われた。

　「ねずみの三銃士」は、“今、一番やりたい芝居を、自分たちの企画で上演したい！”との想いのもと、演劇界のチーム―リーダーである生瀬勝久、池田成志、古田新太の3人が集結した演劇ユニット。これまで2004年上演の『鈍獣』、2009年上演の『印獣』と5年ごとに企画・上演を続けてきており、本作はその第3弾。前作、前々作に引き続き宮藤官九郎が描き下し、河原雅彦が演出するというタッグもそのままに上演される『万獣こわい』。今回は、東京のとある住宅街にある喫茶店が舞台となる。

　古い喫茶店「どんづまり」を買い取ったマスターは、「サニーズカフェ」と名前を変えて妻・陽子と新オープンを予定していた。開店を明日に控えたある日、突然ひとりの少女が飛び込んでくる。その少女は近所のマンションにヤマザキという男によって8年もの間監禁されていたというトキヨ。命からがら逃げだしてきたトキヨは、その後警察に引き取られ、事件はマスコミによって騒がれた。それから7年、カフェの常連客・埜呂やマスターの前妻の弟・馬場などが通うこのカフェにOLとなったトキヨが訪ねてくる。そして、トキヨの里親・アヤセも来店し、これをきっかけにそれぞれの運命が狂い始めていく・・・。

　マスター役を演じる生瀬は「最近のメディアでの露出では真面目な役が多かったので、今回の舞台では弾けたいと思っております」と意気込み。常連客・埜呂役の池田は「不安、不安、不安。不安が渦巻く世界に、我々もまた不安なものを提出いたします。どう受け止めてもらうのかも不安ですが、我々自体が不安で不安定なものなのだという覚悟も込めているつもりです」と心中を吐露させた。

　ゲスト女優として、映画『八日目の蝉』や『許されざる者』などに出演し、演技派女優として注目される小池栄子が出演し、マスターの妻・陽子を演じる。さらに、8年間監禁されていた少女・トキヨを、着実に役の幅を広げている女優・夏帆が演じ、本作に鮮やかな彩りを加える。またドラマ・映画でも独特の存在感を出す個性派、劇団『サモ・アリナンズ』の座長・小松和重が、マスターの前妻の弟で警察官の馬場を演じる。

　「ドキドキしています。ハードルが相当高い舞台なんですけど……。どう受け止めていただけるか考えすぎないようにやろうと思っています（小池）」、「皆さんより技術も経験も何もかも劣っているのですが、ここまできたら腹をくくって、自分らしく、楽しんで舞台に立てたらいいなと思っています（夏帆）」、「期待と不安がごちゃ混ぜになってる感じですね。でも、今はとにかく早くお客さんの前に立ちたいです。どんな風に観てくれるのか楽しみなので（小松）」と、俳優陣はそれぞれ覚悟を持って臨む。

　トキヨの里親・アヤセを演じる古田が「いつもながらの“感じの悪いお芝居”です」と語る通り、落語の演目のひとつである「まんじゅうこわい」をモチーフにした本作。舞台を上下にわけ、下層ではカフェを軸に、上層では監禁のマンションの一室を軸に、過去・現在が入り乱れる、狂気じみた作品だ。

　しかし、コミカルな演技や、歌・踊り、笑いのエッセンスが散りばめられ、シリアスになり過ぎない約2時間半（途中休憩あり）は、あっという間。「この間稽古を観に来た殺陣師の人がこう言いました。『胸クソ悪いお芝居ですね』。今回は、胸クソ悪いお芝居です。乞うご期待!!（笑）（古田）」。

　パルコ・プロデュース「ねずみの三銃士」第3回企画公演『万獣こわい』は、東京公演をPARCO劇場にて4月8日まで上演。その後、松本公演（4月12日〜13日）、新潟公演（4月17日〜20日）、名古屋公演（4月24日〜27日）、大阪公演（4月30日〜5月7日）、札幌公演（5月14日〜15日）、仙台公演（5月18日〜19日）、福岡公演（5月24日〜25日）、沖縄公演（5月30日〜6月1日）と、全9ヵ所を回る予定。