自己チュー男と引っ込み思案の女の異色ロードムービー『恋するふたり』 主演のふたり染谷俊之×芋生悠にインタビュー | ニュース | Deview-デビュー

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2018/09/06 20:01

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自己チュー男と引っ込み思案の女の異色ロードムービー『恋するふたり』 主演のふたり染谷俊之×芋生悠にインタビュー

映画『恋するふたり』に主演する染谷俊之(左)と芋生悠(右)(C)Deview
映画『恋するふたり』に主演する染谷俊之(左)と芋生悠(右)(C)Deview

 映画に舞台に活躍中の“美女メン”俳優・染谷俊之が、自由すぎる無職の“超”自己チュー男「片桐」を演じ、その「片桐」に振り回される優柔不断なヒロイン「幸子」を、数々の若手クリエイターの映画に主演する“次世代のミューズ”芋生悠が演じる、痛々しく不器用なふたりのロードムービー『恋するふたり』が完成。映画界も注目する二人に、独特の空気感の作品について聞いた。

■『恋するふたり』ストーリー

特に夢も希望もなく、漠然と生きてきた23歳の吉澤幸子(芋生悠)は人気のインディーズバンドのキーボード・真広(井澤勇貴)と付き合っていることだけが、唯一のアイデンティティー。そんな彼女の前に突然、謎のイケメン片桐駿介(染谷俊之)が現れる。「幸子の男が俺の婚約者と浮気しているんだよね」。初対面にもかかわらず衝撃的な事実を告げる駿介は、顔は良いが人の話を全く聞かない強烈な自己愛と自己中心的な人物。あらゆるSNSを使って幸子のことを調べ上げ、自分の婚約者、ふみか(田中日奈子)を取り戻すべく幸子に会いに来たのだった。「いまの自分から変わりたいんだろ? 俺が連れてってやるよ」。駿介の理解不能な勢いに流されて、幸子は俊輔と共に真広のバンドが合宿を行う湖畔のハウススタジオに向けてレンタカーを走らせるのだった。まさか、これが幸子のこれからの生き方を変えるキッカケになるとは思うはずもなく……。

【染谷俊之×芋生悠インタビュー】

◆「演じていくなかで、どっちも憎めないというふうに変わってきて」

――映画『恋するふたり』を拝見しましたが、不思議な手触りの作品ですね。基本二人だけの会話で進展していって、どこかフランス映画のようでもあって。

染谷「見てくださいよ。このセリフ量を!(台本を差し出す)。1シーン1シーンが長くて、一人の長台詞がしれっといっぱいある感じでした。終盤は芋生ちゃんがずっと一人でしゃべるシーンもあって」

芋生「4ページまるごととか。全部のシーンが長台詞でしたね」

染谷「稲葉(雄介)監督が、ワンカットの長回しで撮られる方だったので」

芋生「ほぼほぼワンシーン・ワンカットで割らないですよね」

――そんな脚本を最初にもらったとき、どんな感想を持ちましたか?

染谷「すごい大事件が起こるわけでもなく、すごい盛り上がりがあるわけでもなく、二人が旅をするなかで感じることや、ちょっとずつ成長していくことがリアルで。きっと観ている人は、等身大で感じていただけるんじゃないかと思いました」

芋生「旅をしていくなかで成長していく、“ザ・ロードムービー”という印象で。私の役は、最初は自分の言いたいことも言えない子なんですけど、だんだん片桐にツッコミを入れられるぐらいの強い女の子に成長していくので、同世代の女の子が見ても、勇気をもらえるんじゃないかなと。自分にも言いたいことが言えない部分もあるので、そういうところと格闘して行って、自分も一緒に成長していければなって」

――染谷さん演じる「片桐」は、成長していくかと思いきや…という部分もあったり。

芋生「けっこう屈折した人間ですもんね(笑)」

染谷「片桐は“そこまで言う?”みたいなことをスパスパ言うんですけど、それも実はみんなが思っていることなのかなって。僕自身、普段ここまで言わない、言っちゃいけないというところをリミッターを外して言ってるような感覚でしたね」

――心の中で思っていても、常識的に生きていれば面と向かっては言えないことって多いですよね。

染谷「片桐は、すごいアホで自己中心的で、一見破天荒に見えるんですけど、意外と正論を言っていて、名言みたいなものもちょこちょこ残すんです。それって人間力の高い人が言っても刺さらなくて、こういうダメな奴が言うから、『何言ってんだ』って思いながら、振り返ったときに何か残る。そんな憎めないヤツなのかなって思います。器用なような不器用なような…共感できる部分とできない部分が織り交ざってる感じです」

――染谷さん自身は、人に気を遣うほうのタイプかと思うんですけど。

染谷「僕は幸子寄りなのかなって思います。幸子が終盤で想いを吐露するシーンがあるんですけど、男の僕でも共感できる部分がありました」

芋生「最初台本を読んだとき、片桐みたいな人に実際に出会ったら、『この人と関わりたくない』って敬遠すると思ったんですが、幸子のほうにも『言いたいことも言えず“腹立つなぁ”』みたいな部分がありました。でも演じていくなかでどっちも憎めないというふうに変わってきて。はたから見たらイライラする二人が揃っちゃってるんですけど、ふたりは結局支え合うことになって行くし。出会いがあれば、自分を救い出してくれる人っているんだなあ、出会いっていいなぁって思いました」

――冒頭で片桐が幸子の腕を掴んで強引に連れていきますが、幸子は拒否しませんね。

芋生「心の底では、何かあるんじゃないかって思って、希望は捨てていなかったんじゃないかって思うので、好きなシーンです」

――芋生さんには、自分の中に幸子の部分はありますか?

芋生「めっちゃ気心が知れた人には片桐タイプにもなるんですけど…」

染谷「え〜ッ(笑)」

芋生「基本は幸子で(笑)。でもどっちの気持ちも分かります」

◆「ほんとに二人で旅をしている感覚で面白かったです」

――劇中で「これは刺さった」というセリフはありますか?

染谷「片桐が喋る台詞って、ハッてさせられることが多いんですよ。人からカテゴライズされることを拒否したり、初対面の人と会うんだから取り繕うように言われても、【行儀よくみんなと合わせて、はじめはいいかもしれないけど、あとで自分の首を絞めるぞ】とか、ハッと思うことがちりばめられていて。『片桐語録』みたいなブログを書いてるらしいんですけど、ぜひ読みたいなって(笑)」

――語録を幸子が無理やり読まされるシーンがありましたね。あそこも面白かったです。

芋生「あのシーン、アドリブなんです」

染谷「唯一のアドリブって言ってもいいぐらい。なかなかカットがかからなかった」

――芋生さんの心に刺さったセリフは?

芋生「終盤では片桐の言ったことを反復するシーンがあるんですけど、【分かっててやらないことが一番悪だ】みたいな言葉が響きます。あきらめて前に進めばいいのに、それをしないことも悪なんだな。新しいことに挑戦することもそうだけど、断ち切ることも大事なんだなって感じたりもします」

――ロードムービーという作りで、車で移動するシーンも多いんですが、撮影中のエピソードはなにかありますか?

染谷「二人だけのシーンが多い中、そこに井澤勇貴が加わったり、星野真里さんや高木渉さんが加わったりするんですが、みんな出会ってはクランクアップしていく。だからほんとに二人で旅をしている感覚で面白かったですね。“また二人になったね、頑張ろう!”って」

芋生「車を運転していたんですけど、私、運転免許を持ってなくて、ずっとけん引してもらってて」

染谷「めちゃめちゃジロジロ見られたよね。僕も実は免許持ってないんで」

芋生「それなのにほぼ車に乗っているという。本当に免許取りたいなって思いました。でもいろんなところに行けて面白かったですよね。歯磨きしているシーンは早朝に山中湖で撮ったり」

染谷「本当に旅している感覚でした」

◆「撮影中は、ずっと笑いあってた気がします」

――片桐の衣装が独特で、けっこう重要なアイテムですよね。

芋生「すごいジャケット(笑)」

染谷「ダサいんだけど、値段が高いヤツ。誰もがひと目見てダサいって思うヤツを選ばなきゃいけなくて」

芋生「すごく絶妙な、いいダサさですよね」

染谷「『これだとカッコよくなっちゃう』『これだと普通過ぎる』って。結局この訳の分からない色と柄のジャケットに」

芋生「私ちょっと気に入って、欲しくなっちゃいました(笑)。どこかの舞台挨拶で着るかもって話もありませんでした?」

染谷「そこまで思い入れはないんだけどなぁ」

芋生「でも映画のなかの衣装だって知らなかったら、完全にスタイリストさんがヤバいみたいになりますよね」

染谷「『攻めたな』って」

――今回お二人は初共演ですが、お互いの印象はいかがでした?

染谷「芋生ちゃんの印象は100点ですよ! こんないい子いる?って。しっかりしてて、お芝居も上手で。二人のシーンが結構多いから、ツンってした人が来たらどうしようって思ってたんですけど、めちゃめちゃ裏表がなくて終始いい子で、本当に芋生ちゃんで良かったなって思います。ずっと笑いあってた気がします」

芋生「染谷さんの最初のイメージは、これまで演じられた役もあって、クールな方なのかな、勝手に人見知りなのかなって思ってて。でも本当に面白い方でした」

染谷「全然人見知りだよ! 結構無理してた(笑)。ちなみに10コ違うんですけど、年上だから結構しっかりしなきゃって思って。二人のシーンが多いからコミュニケーション取らなきゃ終わるなって思って、頑張った部分もありました」

芋生「くだけて喋ってくださったので、終始笑ってました。親戚のお兄ちゃんみたいに、本当に優しくて、やり易かったです」

◆「人との出会いで絶対に変わって行くことってあると思う」

――稲葉監督の印象はいかがでした?

染谷「監督は僕と同い年なんですけど、僕らの心をすごく大事にしてくださいました。感じ合うところでやっていいって言ってくれて。芋生ちゃんの最後の長台詞も、台詞が変わっちゃってもOKで。そういう部分を大事にしてくれました」

芋生「長台詞のシーンは、監督もキャストの皆さんも撮影部隊も、みんなが見守ってくれていて、こんなに愛のある現場ってなかなかないなって思いました。監督も投げっぱなしじゃなくて、全編を通して寄り添ってくれて、まんべんなく愛がある監督だなという印象でした。そうそう、クランクアップの時に『こけし』をもらったんですよ。幸子の設定が『こけし好き』だからって」

染谷「お花をもらったことはあるけど…こけしをもらったのは初めて(笑)。いまだにリビングに置いてあります」

芋生「結構立派な大きさのこけしで。実はクランクイン前に髪型をこけしに寄せたんですよ。フォルムがもうばっちりこけしで」

染谷「似合ってて良かったね。舞台挨拶の時にもこけしに戻してほしいなあ」

芋生「じゃあ染谷さんもこけしヘアーで」

染谷「『恋するこけし』?(笑)」

――映画『恋するふたり』の公開は2019年春ですが、9月に完成披露イベントなども予定されています。映画をご覧になる方にメッセージを。

染谷「すごく波があるわけでもなく、激しいアクションがあるわけでもなく、きっとなにも考えずに観ても会話劇を楽しんでもらえると思うんですけど、きっと幸子の悩みに共感してもらえると思いますし、片桐のサイドで感じてもらえるところもあると思います。この映画をきっかけに、今抱えている悩みの解決の糸口にしていただければと幸いですし、そんなにたいそうなメッセージ性があるわけでもないんですけど、ぜひ何かを感じて、楽しんでいただけたらと思います」

芋生「タイトルは『恋するふたり』ってなってるんですけど、観ていただけたら、タイトルとはちょっと違った感想がもらえるんじゃないかと思います。恋愛でも、仕事でも悩むことってたくさんあると思うんですが、人との出会いで絶対に変わって行くことってあると思うし、人同士だからこそ生まれるものを大切にしてほしいと思います。自分自身もこの撮影中にいろんな役者さんと関わることで、役と一緒に成長できた気がします。観ていただけたら最後に新しい変化をもらえる作品だと思うので、ぜひご覧ください」

■映画『恋するふたり』完成披露イベント開催

日程:2018年9月16日(日)
会場:雷 5656 会館(東京都台東区浅草3丁目6番1号)
登壇者:染谷俊之、芋生悠、井澤勇貴、田中日奈子、西川俊介、笠原崇志、森崎りな、予定 ※各部により登壇者は変更アリ

■染谷俊之:片桐駿介役
人気舞台作品『刀剣乱舞〜虚伝 燃ゆる本能寺〜』(16)、『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』(17)、『アンフェアな月』(18)、『御茶ノ水ロック THE LIVE STAGE』(18)、『舞台 銀河鉄道999 GALAXYOPERA』(18)をはじめ、多くの話題作に出演。現在は舞台のみならず、ドラマ『愛の結婚相談所』(17)、『うちの夫は仕事ができない』(17)、『御茶ノ水ロック』(18)、映画『マスタード・チョコレート』(17)、『逃げた魚はおよいでる。』(17/主演)に出演。

■芋生悠:吉澤幸子役
2014年『JUNON Girls CONTEST』ファイナリストに選ばれ、芸能界入り。主な出演作は『マスタードガス・バタフライ』(16/主演)、田辺・弁慶映画祭セレクション 2016『それからのこと、これからのこと』(16/主演)、『朝をこえて、星をこえて』(17/主演)など様々な作品で主演を務める。近年では、「ピンカートンに会いにいく」(17)、「ひとひら」(18/主演)、「野球部員、演劇の舞台に立つ!」(18)、「ブレイカーズ」(18)、「このまちで暮らせば」(18/ヒロイン)、「えのしまピエロ'17」(18/主演)、「左様なら」(18/11月上映/主演)に出演。

関連写真

  • 映画『恋するふたり』に主演する染谷俊之(左)と芋生悠(右)(C)Deview

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