魔夜峰央のコミックが原作の舞台『パタリロ！』が公演初日を迎え、公開ゲネプロと囲み取材が8日、東京・紀伊國屋ホールで行なわれた。パタリロ役の加藤諒、バンコラン役の青木玄徳、マライヒ役の佐奈宏紀、そして演出の小林顕作が登壇した。

　この舞台の脚本を手がけてるのは、イケテツの愛称でもお馴染みの俳優で劇作・演出家の池田鉄洋。小林は「僕が“ムチャに書いていいよと言ったら、本当に無茶な脚本を書いてきました。“顕ちゃんがきっと削るだろう”と思ったらしいんですけど、僕がほとんどそのまんまやってしまって。通し稽古の映像を見た彼は“本当にやっちゃったんだね”と（笑）。双方が責任をなすりつけ合ってます」と、噂に違わぬハチャメチャな舞台になっていることを明かす。そして表現に対する規制が厳しい現代でも、舞台だからこそ描ける「80年代のおおらかなギャグの世界を堪能していただきたい」と語った。

　主人公のパタリロを演じ、この舞台が初座長となる加藤は「座長という言葉にとらわれて、プレッシャーを感じたこともありましたが、小林さんについていきまして、なんとかパタリロになれたのではないかと。僕のパタリロっぷりを観ていただきたいです」と意気込みを語る。そしてビジュアルが公開されてから、その再現度の高さが話題になったが「金髪にオレンジのシャドーが入っているのが漫画に忠実でかわいいし、お洒落!」とテンション高めに解説した。

　バンコラン役の青木は「大役をいただきまして、誠に光栄であります。ＢＬ（ボーイズ・ラブ）ものの走りということで、バンコランとマライヒのそういう部分にも注目していただければ」と耽美なラブシーンをアピール。マライヒ役の佐奈も「今回最年少で『パタリロ！』に参加させていただいたんですけど、類まれなる美少年の色気を思う存分に発揮して、客席の皆様と舞台を盛り上げたい」と自信を見せる。加藤は「マライヒとバンコランのラブラブシーンが大好き。2人の愛って本当に純粋で、観ていてドキドキしちゃう。すごいお勧めです」と目を輝かせた。

　『パタリロ！』はWEBに連載の舞台を移し、12月5日に97巻が発売されたばかりの長寿ギャグ漫画。1982年にアニメ化もされているヒット作だ。加藤が「上の世代の方は“うわーっ！めちゃそっくり”って言ってくださいますし、僕と同世代の方は原作を絵を見て“これは諒くんにしかできないね！”って言ってくれます」というように、世代によっても反響が異なるようだ。

　「僕の親も友達の親も知っていました」と言う青木に、「バンコランをやるなんてスゴイことなんですよ」と取材記者が熱く語ってプレッシャーをかけると、「緊張してきました…」と恐縮気味。佐奈も「親ぐらいの年齢の方に聞くと“『クックロビン音頭』が盆踊りで流れていた”と言っていて、そのぐらい馴染み深い作品とは…緊張してきました…」と改めて原作の偉大さを感じたようだ。

　本編は、ハチャメチャな展開のストーリーと、ギャグのツボを押さえた小林の演出のなかで、若手俳優たちが活き活きとキャラクターを演じて心地よい。小林の作曲によるオリジナルソングや耽美なラブシーン、タマネギ部隊のフェロモンシーン、魔夜メンズの八面六臂の活躍、ちょいちょい差し込まれるパロディなど、見どころもてんこ盛りだ。舞台『パタリロ！』は紀伊國屋ホールにて25日まで上演。なお、加藤諒が舞台について語ったインタビューが、オーディション情報サイト『デビュー』に掲載中。