11月23日全国公開のスタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』の完成披露会見が都内で行われ、高畑 勲監督をはじめ、主要キャスト陣が登壇した。

　本作は、誰もが知る日本最古の文学物語「竹取物語」の筋書きをそのままに、誰も知ることのなかった隠されたかぐや姫の「心」を描き出す、スタジオジブリの超大作。14年ぶりに日本のアニメーションの礎を築いた高畑監督がメガホンを取り、主人公・かぐや姫役には、数百人のオーディションから選ばれた朝倉あきが務める。

　8年の歳月と50億の製作費がかかった今回、監督は「お金もたくさんかかり、時間もかかって、やっと完成できました。ここにいらっしゃる方々、共に仕事をした非常に優秀なスタッフ、その皆さんに本当に心から感謝したいと思います」とコメント。続けて「完成できたことは、自分自身も大変嬉しく、あとは、どうお金を回収するかということですね。そういうことを考えずに作るときは作っちゃうんですけども、できてしまうと、本題はそればかりということになりますので、一人でも多くの方に観ていただきたいと思っております」と笑いを交えた挨拶で作品をPRした。

　“絶世の美女”かぐや姫の喜びから悲しみまで見事に演じきった朝倉は「まさか自分が、大好きな高畑さんの作品に、そしてかぐや姫という大事な役を任せていただいて、ここまで自分を支え育ててくださった、関わった多くの方々に本当に感謝したいです」と光栄の一言。そんな朝倉の声に対して監督は「オーディションのときから、1番かぐや姫にむいてる声なんじゃないか思い、その通り非常にこちらの考えているかぐや姫を感じ取って、大変素晴らしかったと思います」と絶賛していた。

　日本アニメには珍しく、先に声を録りその声に基づいて画を描くプレスコという手法を採用した今回。かぐや姫の幼馴染を演じた高良健吾は「走るシーンがありまして、その息遣いがうまくできなかったので、ブースを出て実際に走って、本当に息切らしてやったり」など会見では出演者陣の苦労話に花が咲いた。

　かぐや姫に求婚するひとり・大伴大納言を演じた宇崎竜童は「プレスコと言われて、よく知らなかったんですが、絵がなくて、何も映ってないスクリーンを背中に、マイクの前に立ちまして。あるシーンでは龍と戦わなければいけないんですが、なんとか向かい側におられた高畑監督を龍に見立てたんですが、非常に苦労しました」とこちらも苦戦。さらに「それから2年経って『ちょっと台詞足すから』と2年ぶりに行きましたが、今度はちゃんと絵が完成しておりました。大伴大納言の顔が、私そっくりでした」とコメントし、会場を笑いに包んだ。

　キュートな女童を演じた田畑智子も「最初台本をいただいたとき、どういう子なんだろうって想像をしてたんですけど、プレスコに行ったときに、絵コンテをちょっと見させていただいて、『あ！ なるほど！』と。この子が歩いてる姿とか、喋ってる姿とか、こういう感じだったら癒されるかなとか、可愛いだろうなというのを想像しながら演じました」と絵を見ると納得のキュートな女童を見事演じきっている。

　78歳ながらまだまだ若々しい声で受け答えする高畑監督には、今後の作品も熱望する声も少なくないが「まだ（先のことは）考えていません」と一言。長年の付き合いである宮崎駿監督の引退については「『今度は本当です』とか言ってたようでしたけど。しかし変わる可能性も十分あると思うんですよ。それは、長い付き合いとして思います。ですから、そういうことがあっても全然驚かないでほしいと思います」と笑いを誘い、完成披露会見を終了させた。

　スタジオジブリ最新作、映画『かぐや姫の物語』は11月23日より全国ロードショー。なお、11月30日発売の『デ☆ビュー』1月号にはかぐや姫を演じた朝倉あきが登場予定。