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2013/03/12 17:01
寺島咲、閉館間近の映画館“シネパトス”への思い語る
公開中の映画『インターミッション』の特別イベントとして、同作品に出演している女優・寺島 咲(22)と樋口尚文監督によるトークショーが、10日、東京・銀座シネパトスで行われた。シネパトスは3月いっぱいで閉館が決まっているが、寺島はこの老舗映画館にまつわる自身の思い出のエピソードも披露した。
この作品は、銀座シネパトス最後の上映作品。そのシネパトスを舞台に制作されたのが映画『インターミッション』だ。
取り壊しの決まった銀座の古い名画座、その休憩時間(インターミッション)に繰り広げられる、さまざまな観客のやりとり、人間模様をおもしろおかしく描いた会話劇で、観客役として、香川京子、小山明子、竹中直人、佐野史郎など歴代の映画スターが続々登場する。
この日、午後の回上映終了後に寺島と樋口監督のトークショーが行われた。作品の中では、冒頭シーンをはじめ、ポイントになるところで印象的、かつ魅力的な登場の仕方をしている寺島。樋口監督は「この役柄は咲ちゃんしかいなかった」と、最初から寺島の出演を熱望していたという。
監督は「大林宣彦監督の秘蔵っ子の咲ちゃんにどうアプローチしようか」と思案していたところ、たまたま大林監督から誘われた新潟・長岡の花火大会に寺島も来ていて、そこで出演をオファーをしたという。寺島は、出演した2012年公開の映画『この空の花 長岡花火物語』の撮影に入る前に、その準備として見学に来ていた。
トークショーでは主に『インターミッション』の撮影現場のエピソードについて盛り上がった。現場の雰囲気は「とても明るくて、手作り感あふれる現場で、みなさん本当に映画が好きで作っている感じ、映画に対する愛が伝わってきました」と寺島は振り返った。
この作品で寺島が演じたのは、観客の一人で、映画館に定期的に足を運ぶ盲目の少女。映画館のロビーで出会う佐野史郎とのユニークなやりとりを演じている。
「(一緒に演じていて)佐野さんのお芝居がおもしろかったです。撮影前に自分の中で演技のプランを考えていきましたが、こういう感じでくるんだというお芝居もあって…。出来上がった映画を観て、佐野さんのお芝居は自然だけど、なにかおもしろいと思いました」
盲目の少女役ならではの苦心もあった。
「演じるにあたって、目線を一定にしなければならない。目線って、お芝居で感情を表現するのに重要な要素ですが、それを使わずに表現することが難しかったです」
今月で閉館するシネパトスについては特に思い入れがあるという寺島。
「私がシネコン以外の映画館以外で初めて来た映画館なんです。また(出演した)『ハードライフ』『私の叔父さん』などの舞台挨拶でもお世話になったこともあって、思い出がつまった劇場です」
最後にこの作品について「監督、スタッフ、出演者、また今観に来てくださっているみなさんも含めて、みんな映画が大好きだからできた作品です」と感謝の思いを表した。
トークショー終演後、寺島は「初日じゃないし、どれくらい観にきていただけるか不安でしたが、たくさんの方に来ていただけてうれしい」と笑顔で語った。「今回は、ベテランの方から若手まで、すごいキャストのみなさんが『映画が好き』という思いで集まっていて、その仲間に入ることができて、この作品に参加できてうれしかったです!」
映画『インターミッション』は、銀座シネパトスで上演中。出演は秋吉久美子、染谷将太ほか。