83年にNHK朝の連続テレビ小説として放送され大ヒットを記録した『おしん』が、30年ぶりに新たな劇場用映画として製作されることが決定。その発表記者会見が5日、東京會舘で行われた。半年間のオーディションを経て、2471名のなかから選ばれた「おしん」役として、宮崎県出身の8歳・濱田ここねが初お披露目された。

　『おしん』は最高視聴率62.9%というテレビドラマの歴代最高視聴率記録を打ち立て、世界86の国と地域でも放送された超人気ドラマ。この作品の映画化にあたり、おしんの母・谷村ふじ役に上戸彩、加賀谷の大奥様・くに役に、ドラマ版でふじを演じた泉ピン子ら、豪華な顔合わせが実現した。

　上戸は「日本だけでなく世界で有名な『おしん』で、ピン子さんが演じたふじ役に私を選んでくださった皆さんに感謝するとともに、ものすごくプレッシャーを感じています。まだ早いんじゃないかとか、母親に見えねえだろとか、たくさん言われるのは目に見えてるんですけど（苦笑）。ピン子さんに“そんなの命を懸ければ大丈夫だよ！”って素敵なアドバイスをいただいたので、命を懸けて、スイッチを切り替えてがんばって演じたいと思っております」と意気込みを語った。

　監督の冨樫森は『おしん』を映画化することについて、「（ドラマの子供時代を演じた）小林綾子さんに代わるような、平成の新しい“おしん”を皆さんに見ていただくことだと思っています。あれだけ大ヒットしたテレビドラマを期待して、映画館に足を運んでくれる方たちの期待を裏切らない、満足して帰っていただけるようなものを、映画として提出したいと思っています。こんな時代なんで、泣いて泣いて元気になるようなおしんを作っていきたいと思っています」とコメント。

　今作はおしんの少女時代が中心となるが、ヒロイン・おしん役を演じるのは、一般公募も含むオーディションで2471名の中から選ばれた濱田ここね。宮崎県出身の8歳で、3歳の時から地元のCMや、舞台等で活躍してきたフレッシュな逸材だ。上戸は「先日衣装合わせをさせていただいたんですが、2時間以上笑いっぱなしでずっと隣にいてくださったんですよ。この笑顔が映画の中では一切見れないかと思うと、つらいなあって思いました（笑）。だから今のうちに笑おう！」と本物の母親のような眼差しで濱田と笑顔を交わす。

　オーディションの最終選考にも参加したという泉は、「浴衣を着た時にぴったりだと思いました。どのお子さんも上手だったんですけど、ハッキリ言って上手過ぎんの。橋田（）先生ともよく言うんですが、綾子だって最初上手じゃなかったですから。存在感ですよね」と太鼓判。

　冨樫監督は起用の決め手について「都会の色の付いた子が多かった中で、この通り、りんごほっぺの野生児はこの子だけだったんですよ。あんまり割れることなく、スッと決まりました。パワーがあって、生命力が決め手ですね」と説明。そして原作者の橋田壽賀子は「面魂がいい」と褒めたうえで、「思い切り、精一杯やってくれればいいです。作ることはない。ヘンに演技するとおしんらしくなくなるから、自分の気持ちがあふれるように。ちゃんと演出家がついてるから大丈夫です」とアドバイスを贈った。

　記者からの質問で、共演者の印象を聞かれた濱田が、「上戸さんは衣装合わせの時からすごく優しくしてくれて。泉さんも『渡る世間』や、いろんなドラマや映画に出てらっしゃるし、“ベテランさん”で…」と答えると場内は爆笑。そして泉が「新しいおしんを作ればいいんだって」と言うと、濱田は「じゃあ、作ります！」と力強く即答してみせた。

　映画『おしん』は、2月中旬よりオール山形ロケで撮影、2013年10月全国ロードショー公開。